大井第2球技場、Final4。駒沢第2球技場、Final。
プレイオフ以降、BLUE BULLETSの応援席はいつも青一色で染まる。

それを経験した先輩たちは、
皆が口を揃えて「スタンドが力を与えてくれた」と言ってチームを去っていく。

東京大学運動会ラクロス部男子 第26期主将、金井健太郎。
東京大学運動会応援部 平成二十五年度主将、増井周造。

応援するものと、されるもの。

シーズンも終盤に差し掛かり、
4年間の集大成を迎える2人が、その心境を語る。

 

応援とは何か?

増井: 「応援とは何か」という問いは、4年間やっていても答えの出ない難しいものです。
応援部の中で明示的に語られて、受け継がれるという事は、実はあまりありません。
先輩たちの中には「勝てる応援が、素晴らしい応援なのだ」と言い切る方もいらっしゃいましたが、私はそれだけでは無いと感じています。「応援は、勝つ為にするのである」と明言してしまうことで、本質から外れ、失われてしまうものがあると思うからです。
ただ一つ確かなのは、勝利を信じて、己の限界まで努力し行動し、行動すること。
そして、その限界を越えようとすること。それだけは、応援の本質の様に感じています。

金井: 僕にとって、応援というものは、年を重ねるごとに意味を増してきたものです。
それは、挫折も栄光も含めて、僕自身が色々なことを経験し、僕たちを応援してくれる人たちが、どんな想いで自分たちを応援してくれるのかがわかってきたから。
応援というのは、自分が奮い立つ理由になるもの。
「この人の為にも勝たなければならない」という、理由となるもの。
そのためには、応援してくれる人の想いを汲み取る力が必要なのだと思います。
今年の東大運動会の主将合宿で聞かせていただいた、一昨年の応援部のスローガン「応える力・授ける力」は、そういう事を意味しているように感じました。

僕たちは、「応える力」を持つ必要がある。

増井: 金井主将の言うとおり、応援は一方通行のものでは無いと思っています。
私たちは、「応援のプロフェッショナル」ですので、何よりも「最後まで勝利を信じて行動すること」が一番大事だと思っています。
私たちが勝利を諦めてしまったら、それは応援部としてのそもそもの存在意味がなくなってしまいます。

だから、私たちは、応援技術より経験よりもまず、「どんなに厳しい状況でも、それを乗り越えられる心の力」を養う事を重視しています。
実は、自分の限界を超えることが、一番の応援に繋がると思うのです。

金井: 確かに、フィールドで厳しい状況にいる時に、自分たち以外に、心から勝利を信じて声援を送ってくれる人を感じられるということは、ものすごく力になります。

応援する側の葛藤

増井: 応援部の葛藤の一つに、「応援に来て欲しい」という依頼をいただいた時にその全てにどう応え切るか、というものがあります。
私たちは応援のプロフェッショナルでありたいと思っていますので、中途半端な応援はやりたくありません。
ただ、どうしてもスケジュールや人数の都合で、全ての依頼に応えきれない場面もあります。特に吹奏楽団などは、楽器がある程度揃わなければ、きちんとした演奏はできなくなってしまいます。
それでも、「2、3人だけでも来て頂ければ励みになります」と仰って頂いたその気持ちに、どう応えるべきなのか。
気持ちをとるか、パフォーマンスをとるかという問題でもありますし、そもそも 「私たちに応援に来てほしい」と思っていただいている気持ちに、優先順位を付けてしまって良いのか、という問いの中で、葛藤しています。

金井: 応援部の中にも、色々な葛藤があるのですね。僕は、それに対する答えは分かりません。
ただそういう葛藤を応援部が持っている、という事を聞けたことは、間違いなく僕らの力になります。

 

応援するものは、応援される者より強くあれ

金井: いつか、WEBで東大応援部の記事を読んでいるときに、この言葉に出会いました。
「応援するものは、応援される者より強くあれ」。
この言葉が、今は良く分かる気がします。

例えば、僕はラントレをしている時に、マネージャーに「頑張れ!」と気軽に声をかけられるのがあまり得意ではありません。
これがどれだけきついか分かって言ってるのかな?と、心が狭い事を思ってしまうこともあります。
でも、トレーニングがキツさは想像できないし、自分の声はもしかしたら響かないかも知れないと分かりつつ、それでも何か少しでも力になりたい、と思ってかけてくれる声には、力を貰えます。

また、厳しくも親身にアドバイスをくれるOBの方たちから頂く気持ちも、日に日に強くなって来ています。
それは、彼らが僕と同じ道を試行錯誤しながら乗り越えた経験があり、簡単なことではないと分かった上で、それでも色々言っていただいている、ということが僕に想像できる様になったからだと思います。

この「強くあれ」というのは、能力が優れているとか技術を磨いているとかでは無く、想いの力、ですね。

増井: 応援部でも、それと似たような経験があります。
応援部には、合宿で山道を40-50キロ1日がかりで走る大出走という、毎年恒例のトレーニングがあります。
これは先ほどお話した、「自分の限界を超える」為の非常に過酷なものなのですが、OBの方が、車で一緒に走りながら「頑張れよ」と声をかけて頂ける事があります。
客観的に言ってしまえば、「車で楽をしながら、気軽に声をかけているだけ」なのですが、私には、その言葉は非常に重く感じました。
なぜなら、OBの方たちも過去にこの大出走を乗り越えてきており、これがどれだけ大変なものかを身をもって知っているはずだからです。

そういう声は、響きます。

 

日本一に向けて

金井: 突き詰めると、応援される側の選手としては、「勝ち」で答えるしか無いと思っています。
どんなに繋がりがあっても、気持ちを理解していても、勝たなければ結局応援部のみんなの4年間も、増井君の葛藤も無駄になってしまうから。

今日は戦う理由、勝たなければならない理由が一つ増えました。
応援部の為にも、増井くんの為にも、日本一になります。

増井: 応援部の事を良く見ていただいているな、と思って身が引き締まりました。
1年生のとき、ラクロス部がFinalで早稲田に負けた時に、応援部の先輩の方々がみんな泣いていたのですが、当時の自分にはその意味がわかりませんでした。今ならそれが分かる。

応援する側にも、勝ちたい理由はたくさんあります。

一緒に日本一になりましょう。

(20131031 interviewed and edited by Wataru Anzai)

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