ぶれない強さ

東大は、苦境に立たされた時に弱いな、と感じることがよくあります。上手くいっている時は良くても、やっぱり辛い時に弱い。自分に言い訳したり、楽な方に流れちゃったり。例えば、選手が怪我をしている時期って、その人がスポーツをやっているなかで一番挫折する瞬間で、弱い部分を見せてしまう時だと思うんです。トレーナー(以下、TR)は、練習中リハビリについていることが多いんですけど、そういう時の選手と話していると、自分に対してまだまだ甘いと思うし、自己中心的だなと感じることが多いです。怪我して練習をアウトしていたって、やれることはたくさんあるし、リハビリからも練習の雰囲気は作っていける。選手が全力で練習している隣で、リハビリの選手が全員自分の体のことをひたすらに考えて、必要なトレーニングをがんがんやっていたら、そこからチームにいい雰囲気を波及させることも出来ると思うんです。 だから、大事なのは、辛い時こそ考えて行動すること。自分に何が必要かを考えて、チームのことを考えて行動できる選手がもっと増えれば、もっともっと強くなれるはず。

チームを見ていると、とりあえず行動として狂奔するふりはしているけど、考えることを狂奔していないと感じることがあります。「なんとなくやってればいいや、筋トレやっとけばいいや」って。都外川も言っていたけど(*1)、一橋戦後はずっと雰囲気がよくなかったし、緩んでいたと思う。
例えばダウンの時、TRが仕切ってやっていても、最後の方を適当に終えてだらだらしていたり、そもそも自主練していてダウンをやらなかったり。そういう中途半端な気持ちが全部怪我になって表れたんじゃないのって思いたい選手もいます。言い訳してチーム方針に従わないのは、やっぱりチーム崩壊のきっかけになると思うし、プレー中にもそういう甘さは出ているんじゃないかと思います。
始めの頃は皆のなかに問題意識がちゃんとあっても、そこからの停滞期が長い。「練習後は、ダウンを必ずやる」っていう些細なことでさえ、これだけの大人数に浸透させるのは本当に難しいし、こういったことは、ダウン以外のことでもよくあるんじゃないかな、と。ゼロから始まって、ゼロを抜け出した後が結構長くて、そこから先の目標を見失ってしまうのは、東大ラクロス部の悪い傾向のひとつだと思います。一番難しいのは、ゼロから作ることじゃなくて、作り上げたものを継続していくことで、そこに全力を懸けている人は今、どのくらいいるんだろうって思います。
色々な場面で、「継続すること」にもっと力を入れられる人が多いチームになりたい。大きい試練がないと気合い入れて出来ないのは強いチームじゃないと思うから。そのための一つの手段は、たとえ一人でもそういった姿勢を見せ続けていくこと。それに周りが気づいて波及していって、当たり前になっていく。その意味で、キャニー(*2)はすごく尊敬しています。キャニーは鈍感だけど、色々なことに気づこうとしているし、気づいたらそれをぶれずにやる姿勢を見せ続けてる。細かいところも妥協しないで、周りに求め続けるところもいいなと思います。だから私は、そんなキャニーに賛同して、ついていきたいと思っています。

(*1 2013年度GB長27期(3年)MF#69都外川識志によるSOUL「狂奔」より)
(*2 26期(4年)LG#45金井健太郎。2013年度主将。)


 

嫌われ役になる

「嫌われ役になること」が、シーズン当初に決めた抱負でした。色々な人と話して、「喜多田は嫌われるのを怖がってるよね。色々考えてても、それを言うのを躊躇うよね。」と言われて、自分でもそうだと思ったんです。だから、「嫌われ役になる」っていうのを目標にして、殻を破りたいな、と。元々は和を乱したくないと思う性格なので、放っておいたら耳に痛いことなんて絶対言わなかったと思います。でもせっかく4年間部活をやるんだから、自分の性格1つ変えるのもいいんじゃないかって。
TRは嫌なことを言う機会が多いポジションだと思います。だけど今は、それでもいいや、というくらいの覚悟で言うようにしています。以前は、問題意識を持っても、発言してトラブルを起こす方がチームにとってマイナスなんじゃないかとか、波風を立たせない方がいいんじゃないかと思って、言い出せませんでした。でもそれじゃ何も変わらない。それで一回言ってみたら、今までよりも相手に響いたなっていう実感がありました。発信した時のレスポンスが増えたと思うし、最近では反対意見を直接言ってくれることもあります。
だから、今は本当に違和感を持った時はちゃんと伝えるようにしています。少し口うるさいなって思われてるかもしれないです。特にリハビリでは、一回リハビリに来たら、皆私のことを嫌いになっていくんじゃないかって思うくらい、すごく嫌なことも言っています。「自分の体と向き合えないんだったら、チームに必要ないよ。」とか、「みっともないから、そういうリハビリはやめてほしい。」と。でもそれは、自分しか気づける立場にいなくて、これは言わないと変わらないと感じたから。それに、4年生としての責任感もあると思います。こんなチーム嫌だとか、ダサいチームだなって思ったら、それを直すには言わないとって。
チームスタッフ(以下、TS)は、プレー以外のことを見る余裕がある存在だから、チームが残したゴミとか、ちょっとしたことにも気づける立場にあると思います。一番見えるからこそ、気づいて違和感を持った人が発信するのが一番効果的だと思うから、自分から言うようにしています。チームとしてはその方が絶対良いと思うし、案外言っても嫌われないです。なんだかんだ本人にも思い当たる節があるから、ちゃんと受け止めてくれます。だからもっと皆、嫌われ役になってほしい、特に4年生。今年の4年は怒り下手だから、もっと求められると思う。人に求めることを妥協しないでほしい。気づいているのに、それを言わないのは罪だから。


 

選手を強くする

4年目になってTSの存在について考えた時、TSは足首を捻挫した時のサポーターに似てるなと思ったんです。どういうことかと言うと、足を捻挫して上手く走れない時は、サポーターをつければ、それが選手の力になってフィールドを駆け回ることができる。でも、自足を強くすることを忘れて、サポーターを強くすることだけを考えていくと、サポーターを外した時に捻挫しやすくなる。
TSの存在はそれに似ていて、TSは選手という自足とうまくマッチすれば、自足単体よりも良いパフォーマンスが生まれるかもしれない。でもTS体制や周囲の環境を整えることだけを求めてしまったら、選手という、一番育つべきものが育たなくなる。つまり、TSがいいものを提供することを目的にしてしまうと、選手が「勝つために本当に必要なことは何か」を考えて行動する機会をなくしてしまうと思ったんです。サポーターは、それ自体の強度を上げることだけじゃなくて、選手の自足を強くする働きかけをすること、つまり、サポーターを外している時の足首トレーニングを提案することも出来るのだと思います。チームを強くするためには、TSにはそういったアプローチの仕方があるんじゃないか、そこに可能性があるなら、TSをやる意味はあると思います。だからいつも、足首トレーニングに当たるものはなんだろうって考えるし、一人で考えてもわからなかったら周りと話すようにしています。
本当は、サポーターなしで、怪我もせず全力で走り抜けられる足が最強なんです。でも実際にはチームの人数も多いから、やっぱりサポーターはあった方がいいんだろうな、と感じることもあって。だから、その使い方を間違わずに、選手の自足が一番強くなる方法を考えて、一番速く走らせるという目標を見失わずにやっていかなくちゃいけないな、と思います。
私は、一橋戦で初めて勝ちの喜びを知って、感動して、泣きそうになりました。これから先の試合では、勝利の瞬間にどんな気持ちになるのか楽しみです。でも、勝つためにはまだまだやるべきことがあります。今ここが踏ん張りどころ、私も頑張ります。

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