現状に満足しない

2年生の時は、俺は機会があればAチームに上げてもらって、楽しくやってた。なんとなく上手くいってるって感じで、自分のやってることは間違いないっていう満足感みたいなものを抱いてた。でもそれは全然違った。それが悪い形で如実に現れたのが3年生のシーズン。新体制での12月の試合でも主力として使ってもらったりして勝手に満足したまま、1月に怪我で練習から抜けた。出遅れたけど、それでも正直なところ怪我から復帰すればまたAチームでやっていけるだろうっていう甘い考えがあった。でも実際復帰してみると、Aチームに入っても全然上手くいかなくて。五月祭の前にAチームから外れて、そこからのシーズンは、AチームとBチームの間を行き来するようになった。そこで初めて、2年生の時の自分が上手くいってる感じに満足してしまっていたことに気付いた。現状の自分に満足することで、俺は2年の途中からほとんど成長してなかった。上手くいっている時ってどうしても満足してしまいそうになるけど、そうすると成長は止まってしまう。自分が今やっていることをそのままやっていればいいと思って、新たな問題点に目を向けない。目線がどんどん下がる。だから本当は成長スピードが落ちているのにそれに気付けない。そのことに気付いてからは、どんなに上手くいってる時でも、満足しかけてる自分に気付くようにしてる。3年の時の苦い経験を思い出して、ちょっと満足しかけてないかって自分に問う。「現状に満足しない」っていうのは、この時以来、俺が大事にしていることのひとつ。

3年でBチームにいることは、2年でBチームにいることとは全然違う。3年にもなると、同期の半分くらいがリーグ戦に出てて、でもその中に自分はいない。スタンドにいても素直に応援できない自分もいた。とにかく悔しい。

でもそれだけじゃない。万年Bチームかもしれないということが自分事になってくる。大体実力としてはA主力、Aで普通にプレーできる、B主力、Bで普通にプレーできるっていう風にいくつかの段階があると思うけど、このそれぞれの段階にはびっくりするくらいの差がある。たとえばB試合で点が取れるからAで使えるかっていうとそういうわけではない。3年でBチームということは「3年かけてもAで普通にプレーすることすらできない」ということを意味する。そんなやつが4年かけたところでAの主力としてリーグ戦の舞台に立つことができるのか。もしかしたら俺は来年もBなんじゃないか。去年の俺は自問自答し続けた。

それでも俺が諦めずに頑張ってこれたのは、1年のときに自分もあの舞台に立ちたいと思ったから。他の人だって同じ夢を持ったはず。だから努力し続けることができた。俺は努力が100%報われるなんて甘い考えを持っているわけじゃない。現実がそんな甘くないことは痛いほどこの4年間で感じた。それでも、そのうちの何%かは必ず報われると思う。だからうまくいかなくても諦めずに、死ぬほど努力し続けることが一番大事。腐ってさぼりたくなる気持ちはわかるけど、それじゃ何も変わらない。月並みだけど、今いる環境でできることを最大限やることって本当に大事だと思う。

今Bチームにいるやつの中にももっとできる人はいるはず。もちろん頑張ってるやつもいるけど、でももっと頑張れる。頑張ったからすぐ結果が出るわけじゃないけど、まずは頑張るしかないんだから、上手くいかない時こそ、死ぬ気で頑張れよって思う。

 

勝負する気概を持つ

3年シーズンの俺の主戦場はBリーグ(*1)になったわけだけど、その時は、ただただ苦しい時間が続いてた。でも今振り返ると、あの時のBチームでの時間は自分の糧になったなって思う。2年生の時に山さん(*2)が「ヒーローになる覚悟」っていうのを掲げてたんだけど、当時の俺はよく分かってなくて、その重要性にも気付いてなかった。その年のFINAL4前にAチームにあがって、自分のいい所とかをレポートで提出することがあって、そのとき上野さん(*3)から「お客様感があって、自分がやろうという気概が感じられない」って返信がきた。その後Bチームに落とされる時にも、はらまささん(*4)から「フィールドにはチームを勝たせてやるという気持ちを持っている人しか出せない」って言われた。よく考えたら当たり前のこと。チームを代表している人が勝負しなくてそのチームが勝てるわけがない。それがこのときの俺にははっきりと理解できてなかった。でも、3年でBチームでプレーして、客観的に見てどうだったかはわからないけど、俺はBチームのMFの中では自分が一番上手いって勝手に思ってて、だからこそ自分が点を取らなきゃいけない、自分のミスは負けに直結すると自然に思って試合に臨んでた。「俺がチームを勝たせる」っていう気概を持つ、っていうメンタルは、長くて辛かったBチームで過ごした時間の中で得た最大のものだと思う。これは4年生になってからもだけど、どの試合でも自然と「俺が勝負しなきゃいけない」って思うようになってた。

これまでも色んなところで話されてることだけど、実際の実力よりも自信の方が大事な場面ってあると思う。もちろん実力があれば自信もつくけど、でも実力に裏付けられた自信がないとしても、試合に出る選手は全員、チームを勝たせる気概を持たなきゃいけない。じゃあ実力に裏付けられた自信がない奴はどうすればいいかっていうと、練習しまくって無理矢理でもはったりでもいいから自信をつけるしかない。俺はもともと同期の中でも特別上手いわけじゃないけど、それでも俺が自信をつけるためにやってるのは、誰よりも練習するってこと。練習量でしか自信はつけられないと思ってて、だから、空いてる時間は絶対に自主練に行く。一度やり始めたら最後までやる性格だから、この習慣は俺の中で自信になってる。こういう自信が勝負する気概に繋がって、開幕戦の同点ゴールにも結び付いたんだと思う。

(*1 Bチームの関東学生リーグ・全日本選手権。2013年、東大はB全日本選手権で優勝した。)

(*2 23期山下尚志。2012年度ヘッドコーチ。)

(*3 24期上野裕人。2012年度Aチームアシスタントコーチ。)

(*4 23期原誠宏。2012年度Aチームアシスタントコーチ。)

 

トラウマを越えて

今年の東商戦(*5)は、俺の中での一番のブレイクスルーだった。4Q残り何分かで、タイムアウト後の1on1でショート相手に落とされて、結局チームは逆転することもできずに試合終了。試合後に都外川(*6)に「4年生にあのミスをされたら何を信じていいのか分からない」って言われて、すごく悔しかった。これでリーグ戦敗退、なんて最悪だなって。そこから自分のダメなところにこれまで以上に目を向けるようになった。他人目線での自分の悪いところを聞くのはちょっと怖かったけど、どこを良くしたら上手くなるかとか都外川に聞いて、それを意識して練習したりもした。そこからの1か月は試合でのパフォーマンスも変わったし、今年一番成長した時期だったと思う。

でも一度だけあのシーンがフラッシュバックした。リーグ戦の一橋戦のフィールドに立った時、東商戦のあのボールダウンのことが頭をよぎった。練習の中で自分のやるべきことはやってきたつもりだったけど、でもあのトラウマを払拭するには十分じゃなかった。一橋のやつ相手に1on1をかけるとき、俺はちょっと萎縮してしまって、結局この試合で俺は何も残せなかった。勝負することができなかった。試合後死ぬほど後悔した。

負けることなんて考えたくもないし、勝てるって信じてるけど、もしかしたらFINAL4が俺にとっての最後の試合になるかもしれない。同じ後悔は絶対にしたくない。そう思って、一橋戦後からはとにかく1on1をたくさんすることにして取り組んできた。この1か月誰よりも1on1をやった自信があるし、FINAL4の慶應戦で絶対に1on1で負けたくないって思える。強い相手と練習する機会もあってそこでも自信を持ってプレーできた。慶應はショートDFも上手いし、だからこそ今は慶應相手に勝負するのがすごく楽しみ。

俺はもともと寝ることが好きだし、引退した後の早起きしなくていい生活がちょっと楽しみだったりもする。でも、いつ引退してもおかしくない状況の今、そういう気持ちよりもやっぱり、このチームで先に進んで行くのが楽しみっていう気持ちの方が断然強い。俺も他の奴も、まだまだ上手くなる。このチームはまだまだ上手くなれる。ここでこのチームが終わっちゃったら残念だし、もっと試合が続いてくれればもっと上手くなれたのになって悔しい思いをすると思う。だから、最後まで。学生王者になることももちろんだけど、その先の、全日本選手権の決勝まで、俺はこのチームで進んで行きたい。

(*5 例年6月に行われる一橋大学との定期戦。2014年の東商戦で、東大は5-6で敗北した。)

(*6 27期都外川識志。2014年度主将。)

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