1年目

そもそもラクロス部に入ったのは、頓所(*1)がいたのと新歓ビデオに惹かれたくらいの理由だった。最初はラクロス自体がそんなに面白いって思ってなかったから、練習がかなりきつかった。ずっとバスケのサークルかこっちか迷っていたけど、部活なら目標があって、それを達成するための努力がある。スポーツで何かを成し遂げるってすごく辛いけど、後々まで残るような達成感があると思う。ラクロス部の目標の高いところにも惹かれて、入部を決めた。

でも入部早々手の甲を骨折して、サマー(*2)の直前まで1か月ちょっと練習が出来なくなった。それでいきなり出遅れてしまって。それでも俺は負けず嫌いだったから、自主練だけは欠かさなかった。まだラクロスに没頭まではしてなかったけど、とりあえず負けたくなくて努力した。サマーはβで得点もとってないけど、ウィンター(*3)前にDF寄りになって、そしたら徐々に成果が出てきた。結局ウィンターではαに入ってずっと試合に出ることもできた。ラクロスにそこまで思い入れがない状態で始めたけど、ウィンターまで来るとそれまで自分が努力したこととかが思い出されるようになっていた。ウィンターの三位決定戦で負けた時にすごく悔しくて、悲しくて、そこで「ああラクロス好きになったんだな」って気付いた。

(*1 27期頓所史章。鈴木とは高校のバスケットボール部の同期。)

(*2 新人戦サマーステージ。実力別でαとβの2チームで出場した。)

(*3 新人戦ウィンターステージ)

 

 

後悔

2年生になってLGになったら評価されるようになって、Aチームでずっと試合に出してもらっていた。2年生のLGは俺だけで、周りは全部4年生だったからミスするのも俺ばっかりで。またドリル(*4)か、みたいな。ただついていくことに必死だった。

そのシーズン終わりのFINAL4(*5)。大量リードで前半終了しそうな勢いですごく良い雰囲気だったのに、そこで俺が普段なら絶対しないようなキャッチミスをした。良い雰囲気だった中で、そのミスから失点にまでつながってしまった。そこで罪悪感につぶされそうになって、ハーフの時に舟橋さん(*6)が「絶対に俺が取り返すから大丈夫だ」って言ってくれたのに、そんなことも頭に入ってこないくらいパニックになっていた。その時には試合の流れも持っていかれ始めてた。最終的に、前半のリードを取り返されて負けてしまった。試合後、「自分のミスがなければ変わったりしたのかな」と思ったけど、先輩は怒らなかった。代わりに、「来年お前が勝たせろよ」って。責められた方が楽だった。自分がそんなに重要な役割を担っていたわけじゃないけど、自分のミスに責任を感じた。

2年生の時はミスばかりだったけど、頑張っている自分になんか満足していた。だから成長の速度はあんまり早くなかったんじゃないかと思う。当時はそれで頑張っているつもりだったけど、もっと何かやれたんじゃないかってシーズン終わった後に気づいて。このままじゃダメだって思って、自分が勝たせられるような選手になりたいと思った。

(*4 鈴木の愛称)

(*5 2013年度関東学生リーグ準決勝(通称FINAL4)vs早稲田。前半6-3でリードしていたが、逆転されて9-14で敗北した。)

(*6 26期舟橋光。2013年度副将。)

 

 

怪我

3年目のシーズンに向けてすごく準備していたのに、五月祭(*7)の直前にアキレス腱を切った。「今シーズンはきついでしょう」って医者に言われて。チームを勝たせられる人になりたいっていうシーズンの理想があったのに、初めからその夢が絶たれてしまった。自分の理想と現実のギャップが出来すぎてしまって、受け入れられなかった。

そのときは本当に無気力になってしまった。その前の肉離れとかもあって、復帰するまでには1年くらいかかることになる。チームに対して何も貢献していないし、この部にいる意味あるのかなって思った。復帰したときに自分の入れる場所とか役割なんかないんじゃないか。そういうことをもう無限に自分の中で悪い方向に考えてしまって。辛くて辞めようかと思った。辞めたら辛いところからはとりあえず逃げられるから。

一番辛かったのはその年のリーグ戦。自分が入れたかもしれないところに他の人がいて、活躍しているのを見ていることしかできない。リーグ戦も割と順調に進んでいたから、自分がいなくてもこのチーム強いんだなって、なおさら辛くなって。しばらくは腐っていた。

でもそんな時期に、浦山さん(*8)に一度叱られた。「お前がいるところはまだ最悪のところじゃない、お前にはまだ4年がある」って。浦山さん自身がたくさん怪我をしていてそれを乗り越えてきた人だったから。それまでは怪我をしてから時間も経っていなかったから、復帰して選手としてプレー出来るかも分からなかったし、もしかしたらスタッフとかそういう役割でチームに何かできたらなとか、やめちゃうかもなとか考えていた。自分に甘くなっていた。でも浦山さんの言葉には考えさせられて。そこで2年生の時に辛いのを乗り越えてリーグ戦の舞台に立ったときのことを思い出した。一番喜びが大きかったのが、リーグ戦初戦の一橋戦(*9)。準備して準備して戦略を立てて、相手の全てを抑えて勝ちきった試合。俺は出ていないけど、ベンチにいてもすごく楽しくて。スタンドを見れば青Tを着た人たちがぶわーっていて、こんなにたくさんの人たちが後ろについて、そういう中で自分が代表して戦えるっていうのが誇りだった。そのときのことを思い出して、やっぱりもう一度あそこに戻りたいって思った。このままじゃいけない、頑張ろうって思えた。

戻ろうと決めたもう一つのきっかけは、#35を継いだ責任感。2年生の時に拓朗さん(*10)が一番面倒を見てくれて、そういう師匠みたいな人が引退するときに継いだ番号。#35をエースナンバーにしたいっていうのが拓朗さんの夢だったのに、不甲斐なかった。怪我してその夢からはかなり外れて失望させちゃったかもしれないけど、#35をより良い数字にしていけるように、っていうのが今年の一つの目標かな。

(*7 東京大学本郷キャンパスで毎年5月に行われる学園祭「五月祭」に合わせて行なってきた、早稲田大学との定期戦。)

(*8 25期浦山卓弥。2012年度主将、2013年度Gコーチ)

(*9 2013年度リーグ戦初戦一橋戦。10-4で勝利。)

(*10 26期増田拓朗。2013年度DF長。鈴木は背番号#35を増田から受け継いだ。)

 

復帰

それまで筋トレは嫌いだったけど、3年目のシーズンの終わりに本気でやり始めた。自主練もしていたし、そういうことが実ったのか、今年のシーズンの初めには復帰してすぐAチームに入った。ブランクだらけできつかったけど。そもそも動きが自分の中でおかしいのが分かって、走っている自分に違和感を感じていた。昔は同じスピードで出来ていたことが出来なくなって、全身の連動がもうばらばら。全力を出して走ることが怖かった。怪我を庇いながら、自分でどこかブレーキかけながらやったりして。1年間やっていなかったから試合勘もなくなっていた。でもしばらくしたら試合勘も戻ってきたし、少し力が出せるようになった。走っていて怖くなくなってきた。それが5月くらいかな。

昔から怪我が多かったから、いつも親には心配かけていた。さすがにアキレス腱を切ったときは親もショックを受けてた。自分たちの責任じゃないかってまで思っちゃったらしくて。全部自分の管理が行き届いてなかっただけなのに、親にまで迷惑かけて申し訳なくて、これ以上迷惑かけられないと思った。自分の4年間が今年で終わっちゃうから、最後は自分で責任持ちたいし、だからやれることはやらなきゃって思う。それで行き着いたのがストレッチ。練習後のダウンだけじゃなくて、家では本当に長時間ストレッチしている。アイシングも家でもしていて。そのおかげか分からないけど、今シーズンに入ってからは大きな怪我はしてない。周りがすごく気遣ってくれて、何とかやってこれた部分もある。でもやっぱり最後は自分の責任だから、自分でしっかり管理できるようになりたい。最後まで自分で走れるように、このまま操縦していきたい。

1年間とか長いスパンで怪我をすると本当に辛い。だから怪我をしている後輩に頑張ってほしくて、自分も頑張って結果を出したいなっていう気持ちがある。怪我したらもう4年間終わりなんじゃないかってなると思うけど、努力次第で何とかなるって伝えたい。夢を与えたい。頑張ればこうなれるんだぞ、って。特にLGは努力して上がってきた人が周りにいるから、そういう人を尊敬しているし、間近に見てきて自分の力で変えていけるって分かる。4年間を意味あるものにできるかはその人次第。去年1年間怪我して自分がチームにいる意味ないんじゃないかって思ったけど、そこから俺は上がってきた。あれを乗り越えて強くなれた。辛いものを超えたら、打ち勝ったら、絶対に喜びがあると思うから。

 

 

ラストシーズン

自分が4年になると、一つ一つの試合の結果が自分たちの代に対する評価みたいに感じられる。2年生のときは、チーム全体としてのぼんやりとした勝ち負けに対する思いだったけど、いまは一つ一つの試合が自分事。だから勝ち負けには責任感があるし、そうなると今までと違って楽しくなってくる。自分で勝たせたいっていう思いを持つようになったのも、自分が本当に矢面に立つ気持ちで試合に臨むようになったから。そうすると一つ一つの試合が面白いし、刺激的。4年間かけて、辛いものも乗り越えて、今がある。4年生ってやっぱり特別だと思う。そのチームの顔みたいな立場になるし、そういう立場で相手と試合すると、お互いの今までの生活、どれだけかけてきたかが問われるから。だからこそ、俺は幹部じゃないけど、チームの勝ちに対して責任を負いたいし、チームを引っ張っていきたい。

今シーズンはまだ満足できた試合はない。今までの試合は、自分のコンディションを最高まで上げきれていないと思う。自分の中でこんなもんじゃないだろ、もっと出来るだろっていうのがあって。自分が引っ張ってもらった先輩がいつまでたってもイメージとして残っていて、まだそういうところに自分は辿り着いてないと思う。ずっときゃにーさん(*11)とか拓朗さんを見て俺はLGとして育ってきたから、その2人は俺の理想かな。そして、俺も後輩にそう思ってもらえるような4年生になりたい。荒木(*12)とか今Aチームにいないけど、あいつはうまくなると思うし、そういうやつに自分がイメージとして何かを残していけたらなって。これは技術的な面だけじゃなくて、出来るだけ下級生と絡んで、これが4年生なんだっていうのを見て感じ取ってほしい。2年生の時に上級生が下級生を引っ張る姿を見て、かっこいいなと思って憧れた。自分がああいう人たちになりたいって思うし、後輩たちが頑張るモチベーションになりたい。

(*11 26期金井健太郎。2013年度主将。)

(*12 30期(2年)LG#14荒木雅史。)

 

 

開幕戦

8月くらいになるとシーズンの終わりが見えてくる。今は辛いけど、充実はしているし、なんだかんだ言って楽しいから、終わらせたくはない。だから勝たなきゃいけない。

リーグ戦は一つ負けたらそれだけで苦しい状況になる。でも現時点でそんなに気負いはない。最高学年で自分が勝ち負けに関わる場にいて、勝負に立ち向かえるっていうのは楽しみなこと。高校から7年間も懸けてやってきたような熱いチーム(*13)と、開幕戦っていう一番注目されるような舞台で勝負できるのはすごく光栄だと思う。開幕戦で良かったなって思うのは、準備がしっかりできるから。言い訳もできない上での本気の勝負。そういう舞台で、慶應っていう相手を、チームを、自分たちが倒したい。不安はあまりない。自分たちの全力を純粋にぶつけるだけしかできないから。今までやってきたことを信じて、自分たちのラクロスで慶應に勝ちたい。

(*13 慶應大学は附属高校にもラクロス部があり、多くの選手が高校からプレーしている。)

 

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