「支える」ではなく「共に戦う」

チームスタッフ(以下、TS)として「チームを支える」というフレーズはよく聞くけれど、私がこのチームに関わるスタンスは少し違うなといつも思う。アタック、ミッドフィルダー、ディフェンス、ゴーリーがいるように、5つ目のポジションとしてのTSだと私は思っている。ゴーリーはあまりシュートを決めないけれどセーブで勝利に貢献しているのと同じように、TSはグラウンドに出てプレーするわけではないけれど、それぞれの仕事を全うすることで勝利に貢献する。だから支えているというよりも一緒に戦っているという方がしっくりくる。

TSとしてだけでなく、トレーナー(以下、TR)としてもそう。TRは特に選手がリハビリや練習を抜けるかどうかの判断に携わるポジションだから、ともすれば上から目線になってしまうけど、選手と一緒に歩む、一緒に戦う立場でありたいと思う。例えば、今年は出来るだけラクロスをできる時間を増やしたいと思っている。やっぱりなんだかんだラクロスをしている方が上手くなるから。私がテーピングで何とかできる部分は何とかして、選手には自分でできるストレッチとかをしっかり教える。TRにやらされるわけでもTRに頼り切りの状態でもなく、TRと一緒に選手自身が強くなっていく。選手と近い距離で、一緒に相談しながら進んで行く事で、少しの違和感が大きな怪我につながる前に防げるし、新たな怪我も未然に防げる。選手が主体的にリハビリに取り組める。

そういう風に、「支える」じゃなくて「共に戦う」ことでチームを勝たせたい。

揺らぎ

選手でもTSでもチームの一員として学生日本一を目指すということに変わりはなくて、TSも選手と同じようにチームの勝ちに貢献できると思って入部した。でも本当にそうかなって、気持ちが揺らいだこともあった。他のTSを見ていて本当にみんなそう思ってやっているのかなと思った事もあったし、選手を見ていても本当にそれで日本一になれると思ってやっているのかなと思う事もあった。こんなに日本一になりたいって私が言っていても私は点を取れるわけじゃないし、最終的に勝利に貢献するって言ってもそれは綺麗事なんじゃないかと思っていた。あすなろ(*)の主将を決めるミーティングで同期から誰も立候補者が出なかったときは、思わず「誰もやる気がないなら私がやった方がまし」と言ってしまった。TSで主将になんてなれるわけないのに。

そんな思いが積もり積もって、部活にまっすぐ向かっていた気持ちが離れそうになった。そんな中途半端な気持ちで部活にいるのは許されない事だと思って、ある日誰にも相談せずに、部員全体に向かって部活を辞めます、と一方的に告げてしまった。

しばらくは、これが正しい選択だったと思っていた。言い聞かせていたのかもしれない。でも同期や先輩、OBOGの方と話すうちに、徐々に迷いが生まれていった。

そしてあるとき、学生日本一になりたいっていう夢が捨てきれていないということに気づいた。チームから距離を置いて初めて、自分がどれほどそれに憧れていたかが分かった。チームが好きとか同期が好きとか、部活にいるモチベーションは人それぞれだと思うけど、私にとってそれはこのチームで学生日本一を達成すること、だった。そして自分の甘さにも気づいた。選手の意識が低いとか思っていたことも、私がそこに向き合う事から逃げていたのだと分かった。覚悟を決められていなかった。こんな私でも、もっとなにか出来ることがあるかもしれないと思った。

部活を勝手に辞めたこと、それにも拘らず1ヶ月で戻ってきたことを受け入れられない人ももちろんいた。簡単に受け入れてもらえるはずもなかった。それでもこうして戻る事ができたからには、チームが学生日本一になるために勝ちにつながる行動に徹することが、私がチームのためにできる事だと思う。このときの決意は今も強く意識しているし、このとき決めた覚悟は揺らいだことはない。

(* 2年生の春に行われる、最後の新人戦。)

学生TRにできること

学生TRはプロではないから、メディカル面で特に限界があると思う。プロのTRを頼れるなら学生TRがいなくてもいいんじゃないかって思っていた時もあった。

でもあるときそうじゃないなと気づいた。

私たちは専門的な知識も実践経験も少ない。でも学生TRはチームの一員だという何よりの強みがある。チームが勝つために何が足りないかを考え、その解決策を考え、実行に移す。例えば今年はアスリートとしての意識を上げるために食事や睡眠といった面に力を入れて取り組んでいるけれど、これは3年の頃に復帰直前の選手のリハビリを担当していて、そもそも怪我を減らすために何かできるんじゃないかと思って始めたことだった。栄養や睡眠は、すごく地味で目立たない部分だけど、怪我の予防や技術力の向上といったアスリートの土台を作る部分で大事だ。でもそういう部分って、毎日根気強く伝えていくとか、みんなでイベントみたいにして取り組むとか、ってやっていかないとなかなか浸透しない。それができるのはやっぱり日々選手とともにいる学生TRの強みだし、役割だと思っている。

私自身が選手として運動しているイメージが強いからか、「なんで自分でプレーしないの?TRなんて何が楽しいの?」と今まで何度となく聞かれてきた。そしてそれはなかなか難しい質問だと思う。自分自身がフィールドでプレーできないもどかしさは常に味わってきたし、選手のことを羨ましく思ったことさえある。でもだからこそ、自分がTRとしてチームの勝利のために出来る限りのことをして、選手に思いを託して、フィールドに送り出す。そしてそんな毎日の中で、長期間のリハビリを耐え抜いた選手が楽しそうにプレーしているのを見るとき、自分がしたテーピングで痛みを抑えることが出来たときなんかにちょっとした喜びを感じて、このチームで学生日本一になったときのことを想像するだけで、頑張ろうと思える。

今年アスリートづくりの取り組みを続けて、明らかに意識が上がったなっていう選手もまだまだだなっていう選手もいる。ただ、昔はみんな知識もなかったのに対して、今はある程度知識はついてきた。あとは行動に移すだけ。今年のためというのはもちろんだけど、来年以降もチームが勝ち続けていくためにアスリートとしての基本を浸透させることが今年の目標。まだまだやれることはたくさんある。

妥協しない

シーズン終盤になった今でも、Aチームの選手でさえ意識が足りないなって思うときもある。同期に対しても、本当にそれで4年として勝たせる気あるのか、それで日本一になれると思うのかって思うこともある。もちろんみんなが頑張っていることも知っているけれど、目標に対する気持ちが強くなる分、出来てないところに目がいってしまう。

「アスリート」を掲げて1年間やってきて伸びた部分もあるけど、ダウンへの意識とか栄養面への意識とかまだまだだと思うことは多い。特にこの時期、1つの怪我が命取りになる。だからこそ、アップやダウン、食事、睡眠、ストレッチといった細かなところまでこだわっていきたい。

学生日本一を見据えた時に、やっぱりまだ妥協している部分があるんじゃないか、もっと頑張れるんじゃないかって思う。それはもちろん自分に対してもそう。問題に向き合うことから逃げていたあの頃とは違って、今の私にはチームを勝たせる覚悟と責任がある。

今年1年、妥協しないということを自分の中で掲げてやってきた。引退するときに後悔なんてしたくない。妥協は弱さを生む。だから残された一瞬一瞬を全力で、今年こそ学生日本一になる。

私が、チームを勝たせる。

 

 

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