今年のOFを中心になって作っているのがOF長の竹内と小林コーチ。

2年の時からAチームに呼ばれていた竹内。

部員からはこばさんと慕われ、自身は卒業後社会人チームでラクロスを続け、日本一を達成したこともある小林コーチ。

FINAL4を目前に、今2人は何を考えているのか。

15点取るラクロス

こばさん:俺は2008~2013年まで日本にいなかったから、去年OBになって初めて開幕戦以外を全部見たけど、従来の東大っぽいポゼッション重視のラクロスでつまらないなと思った。毎年「FINAL4進出=成功」と思ってチームを作っているような東大に、チームとしての限界を感じて、ここらへんでそのスタイルを壊さないと手遅れになると思ってたんだよね。だから、今年竹内が「15点取る」って言い出したのは良かったなと思う。15点って指標を出したのは、中でやっていても去年までの限界を感じたからなの?

竹内:14シーズンの早稲田戦(*1)は、前半は試合をコントロールしていたけど、限界があったと思います。1点を大事にしていては、早慶のような地力でガンガン押してくるところには勝てない。東大は毎年、戦術を駆使することで早慶を倒そうとしてきたし、俺も初めはそう考えていました。でも、今年になってそれは間違いだと思い始めました。技術の差を戦術で埋めるのは逃げでしかない。それを最初から目指してしまったら、絶対に上手くはなれないと思ったんです。

こばさん:東大はやっぱりまだまだ下手で、ラクロス自体をもっと上手くならなきゃダメだから、今年のようなスタイルにしてよかったと思う。

竹内:それに、俺が下級生の時から、東大は接戦に弱いと言われてきました。「最後1点を守り切ろう」と言って、守り切れずに負けることが多かった。ラクロスは点を取り合うスポーツで、攻めにくくすることはできるけど、完全に得点を防ぐことはできません。だから、15点取るOFを東大の特徴にしたいと思ったんです。

こばさん:15って数字を出したのは良い効果があったよね。成蹊戦(*2)の4Q途中で10点目を取った時に、まだ点が足りてないから攻めようって声がベンチから出たし、14点目を取ってから時間がないってなっても全員で攻めに行った。まだまだ理想からは遠いけど、やっていることの効果は出てると思う。

竹内:去年までは試合中リードしていていい感じだと浮足立って、流れを失うことが多かった。でも今は、リードしても15点という目標があるから気が緩まないのだと思います。

(*1 2014年度開幕戦。東大は前半、4-1とリードしたが、後半は一時逆転され、最終的に5-5で引き分けた。)

(*2 2015年度リーグ戦第5戦。最終スコアは16-5で東大が勝利した。)

同期とプレーがしたい

竹内:今年はOFコートにいる4年は俺だけ、という時間がどれだけあったことか。俺は同期と試合に出たいし、同期に活躍して欲しいです。今年の4年には確かに、全身全霊かけてやっている感じがするやつは少ないかもしれない。でもやっぱり3年に好き勝手やられたら腹が立つ。3年には来年があって、そのために今年を使うって考え方がどっかにあると思うし、あって良いとも思います。一方で、4年は今年が最後だからその分頑張らなきゃいけない。

竹内:13シーズンのBリーグの全日決勝(*3)では、なっきゃむさん(*4)と河合さん(*5)が、4年という立場でBチームを引っ張って、俺らにはない力でBチームを全日優勝に導いたと思っています。あの時、俺はAから落ちて、Bリーグには途中から参加したものの、2人ほどBの勝ちに貢献できませんでした。プレーが上手いのと、チームを勝たせるのは別。ATで点を取るのが上手くても、そいつがいたらチームが上手くなるとか勝てるっていうのとは違う。河合さんはすごく点を取るわけではなかったけど、河合さんがいたときのBはめっちゃ強かった。やっぱり4年はそういう力があると思うんです。俺の代は1年生の時から上手くなかったけど、俺達には新井さん(*6)が植え付けてくれた「負けは許されない。ラクロス楽しんで、勝負は絶対勝て。目の前の敵はぶっつぶせ。」みたいなメンタルはあるはず。だから、今Bにいる4年も最後までAで勝負しようと頑張ってほしい。

こばさん:4年は特に優しいやつが多いよね。上手くなりたいと思ったら、もっと他人に求めなきゃいけない。Aにいる4年だって指摘をしてるのは幹部ばかり。俺は平の立場でもっとチームに刺激を与えるやつを育てなきゃと思ってる。俺は今、FAL(*7)でプレーしてるけど、基本的にチームに乗っかってるやつは少ない。社会人は仕事や週末だけの練習といった制約がある中で上手くならなきゃいけないって意識が圧倒的に強いから、成長スピードも学生より速い。人をよく見て、自分ができないことを棚に上げてそれを指摘することはもっと当たり前のようにやってる。気になるところがあったらそれを放置しないで気づいたやつから指摘して、改善するサイクルを早くしなきゃいけない。東大はまだみんな大人しくて、先輩やコーチの指摘を待ってるところがあるよね。学年関係なく、思ったことはどんどんぶつけていくことが大切。

(*3 2013年度Bリーグの全日本選手権(各大学のBチームによって行われるトーナメント)。東大は決勝で早稲田に勝利した。)

(*4 26期中村弘輝。)

(*5 26期河合孝哉。)

(*6 24期新井正貴。竹内が1年生の時のフレッシュマンヘッドコーチ。)

(*7 社会人クラブチームFALCONS。)

判断力を上げる

竹内:幹部はみんな年が一緒で、例年はコーチも2歳上とか1歳上。一言で空気が変わる、尊敬されていてその言葉が力を持つみたいなプレイヤーもいないから、こばさんの存在はありがたいです。こばさんみたいな、実力があってしかも年が離れた人が言うことで、俺たちの意識が変わる。日本一になるために必要な意識を注入し続けてくれて、分かっているけどなかなか変われない部分を、突き付けてやばいと思わせてくれています。

こばさん:俺が4年の時は、コーチはいなくてもいいんじゃないかって議論から始まった。コーチの存在は確かにありがたいけど、チーム作りやプレーについて考える部分を任せてしまうのは違う。だから俺も、プレーがどうこうというよりは、コーチがいなくても自分たちで考えて、上手くなっていく力をつけたいと思ってる。実際試合中は、ベンチの指示が聞こえないこともあるし、タイムアウトも短い。試合中に言われたことをすぐに修正してできることも大事だけど、自分で判断しなきゃいけない時間の方が長い。だから自分たちで相手を見て判断できることが重要になるよね。

学生日本一になる

竹内:俺たちは、結局まだFINAL4やFINALのような引退がかかった大舞台で早慶を倒していません。俺はとにかく、早慶に勝ちたい。学生日本一になるということは、早慶を倒すということだと思っています。

こばさん:学生選手権で勝ったことがあるのは一橋と早慶だけ。早慶は目標がクラブも含めた全日本選手権の日本一にある。去年の慶應とか13シーズンの早稲田はずっとFINALの先を見ていたし、関東リーグまでは余力を残して勝っていた。だから東大も日体は日体で意識して、でもその次を見据えながら戦うのが大事。みんなは今までFINAL4を強く意識してきたから、ほっとくとそっちに意識が行っちゃうんじゃないかってことが心配だな。

竹内:FINALを意識しすぎてFINAL4で負けるのはだめだけど、FINAL4を意識しすぎてメンタルがダメになってしまったら、うちは絶対ミスばかりになると思います。

こばさん:手強い相手との試合になると、勝つために戦術をがちがちに組んで臨むという選択肢もある。でも、勝てたら良いと考えるのか、勝つと共にスタイルを追求すると考えるのかは全く違うよね。今年は勝っているだけでは満足しないっていうのはある。

竹内:もちろんここから先は相手も強いから、ミスを減らすとか、OF時間を長くするとかっていう工夫はやっていかなきゃいけません。でもそれだけじゃ勝てない。

こばさん:ラクロスは点が入るから楽しい。ポゼッションゲームじゃつまらない。まず起こらないけど、もしポゼッションゲームをやって優勝してしまったら、自分たちがその呪縛に縛られてしばらく苦労すると思う。一度結果が出てからスタイルを壊すのと、去年から今年でプレースタイルを変えるのとは違う。日本一になった後だと簡単には変えられなくなるからね。

FINAL4に向けて

こばさん:まだラクロスを続けられるのは、全国でも10もない。楽しまないと損。まだ自分たちが目指すプレーに届いていないから、そこに向けて改善の余地があるのはありがたい。ただ、下手したらあと一試合で終わりっていうのも現実だよね。それを2、3年生はもっと自覚したほうがいい。何も考えないで、まだ何とかなるって思っているやつはいる。

竹内:もし負けた時に待っている結果がどういうものかはちゃんと考えて、覚悟を持たなきゃいけないと思います。

こばさん:勝ったことがないやつには、大舞台で勝つってことがどういうことかがわからない。だからこそ、想像できる範囲の最大限の努力を一歩でも超える努力をするしかない。自分のプレーに集中すれば、後から結果はついて来る。

竹内:FINAL4で勝つってことがどういうことかは俺にもわかりません。だから1人1人ができる限りの想像をして、準備をする。フィールドに立ったら、後は自分の最大限の力を出すことに集中するしかないと思います。

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