主将として

主将としてのこれまでの1年間のほとんどは、自分の今までのやり方や考え方が間違っていることを痛感し続ける日々でした。主将として、役目を果たせていると感じたことはありませんでした。もともと自信はありました。自分がやれば勝てると思っていました。でも勝てませんでした。「主将はもっと人格的に優れ、器用で、周りをうまくモチベートするものだ」という考えがありましたが、自分は違いましたし、周りにうまく働きかけることもできませんでした。自分への期待、周りへの期待が大きい分、どちらに対しても失望は大きかったです。

ある時、AチームとBチームのスクリメ(*1)で、Aチームでひどいプレーをする選手が続出しました。連日同じミスを繰り返す選手を前にして、毎日練習に来て何も変えずにいい加減なプレーをするなら練習をする意味がないし、この練習を日々繰り返していても絶対に日本一になれない、と絶望しました。「お前ら本当に日本一になりたいのかよ」と。

それと同時に、僕自身、「本当に日本一になりたいのだろうか」という疑問が浮かびました。「日本一になりたい、自分ならできる」と信じて主将になりました。当然、チームメイトも上手くしていかないと日本一にはなれません。しかし、それをもうやりたくなくなってしまいました。翌日練習を休んで悩みました。

その時改めて『勝者と敗者』(*2)を読んで、自分の覚悟が足りなかったことに気づきました。チームが成長しないのは、全て主将である僕の責任です。でも僕は周りに、「もっと頑張ってくれよ」と思ってしまっていました。自分は頑張っているつもりでしたが、大切なことを見失っていたように思います。いつしか僕のエネルギーは勝つことではなく、自分や周りをどうするかということばかりに使われていました。いつのまにか僕は敗者になっていました。

そこで、主将としてどうあるべきかを考えるのをやめました。他人がどうあるべきかを考えるのもやめました。そもそも、急に今までの人生と違う人格になれるかと言われればそうではないですし、そんな付け焼き刃が通用するはずもありません。さらに言えば、主将がそんな状態でチームメイトが力を発揮できるわけもありませんでした。ずっと、合わないスタイルに自分を無理にあてはめようとして、自分の首を絞めていました。

今は、自分の持っているエネルギーが、ラクロスを上手くなることや勝つことに向いているかどうかを考えています。僕の良いところは、学生日本一に注ぐエネルギーの大きさです。それがたくさんいる29期の中で、僕が主将をやっている理由です。自分や他人の至らない点にエネルギーを割くのではなく、ただ勝つことに全力を捧げれば良い。それが結果的に、いわゆる「理想的な主将」を目指す以上のものを生み出すと確信しています。主将として器用にやろうとか、周りがどうだとかは考えず、ただ愚直に、学生日本一に向かっていきたいです。

(*1 スクリメージの略称。試合形式の練習のこと。)

(*2 2012年度OF長を務めた26期出戸康貴によるソウル『勝者と敗者』)

勝つために

今年プレーオフ(*3)で勝つには、チームのトップ層の人間が真に学生トップレベルの選手にならなければいけません。Aチームの選手として試合に出たりスタメンになったりして、チームの中で上手くなるためにするべきことと、チームのトップにいる選手がプレーオフで活躍するレベルになるためにするべきことは、違うように思います。トップ層の選手は、自分より下手な選手と毎日練習します。日々の発展(*4)の大半は下手な選手のダメなプレーを改善するために割かれるので、それだけでは上手くなりません。もっと外に目を向けないと、自分が成長しないまま時間が過ぎていってしまいます。だから今年海外遠征(*5)を行うことを決断しました。もっと高いレベルの相手とプレーすることで、チームのトップ層がさらに成長するきっかけが欲しかったです。

東大は毎年リーグ戦ではそれなりに強いですが、プレーオフでは相手のトップ層の選手に差をつけられ、ここ数年負け続けています。僕たち幹部はもちろん、尾越や鐵見、近藤、三宅(*6)など、ずっと試合に出ている4年生がここからどれだけ上手くなれるかが鍵になってくると思います。

(*3 11/3に行われる関東学生ラクロスリーグ戦準決勝(通称FINAL4)から12/18のラクロス全日本選手権大会決勝までの、全試合を指す。FINAL4以降は、勝ち進むことで次の試合の出場権を手にする。)

(*4 試合や練習の振り返りを行うこと。)

(*5 2016年の9月下旬に行われたアメリカ合衆国への海外遠征。Johns Hopkins, Towsonなど名だたるNCAA強豪校と練習試合を行った。)

(*6 29期(4年)G#38尾越諒太郎、29期(4年)MF#1鐵見周平、29期(4年)AT#21近藤駿一、29期(4年)MF#88三宅朗彦。)

今年は練習環境が大きく変わりました。上級生は3チーム体制になり、グラウンドに全員が揃うことはありません。Aチームにも、Bチームにも、Cチームにも毎日練習を見てくれるOBコーチはいません。グラウンドの利用枠に対するチーム数が増えた分、各チームのオフは増えました。だらだら練習していても叱ってくれる人はいないし、オフも自主練する人としない人で差がつきます。そういった意味で、部員一人一人に、より主体性が求められる環境になったと思います。

これまで、きついメニューをやらされている、トレーニングをやらされている、という空気になることがありました。何のために練習しているのか、トレーニングしているのか。自分が勝ちたいからじゃないのか、と思いました。これが正解だったのかはわかりませんが、もっと自分たちで考えて納得して、その上で、全力で打ち込める環境にしたかったです。

下級生にとっては、日々見てくれるコーチがいないので、ある程度ラクロスについて理解が深まるまでは、酷だったかもしれません。しかし、そんな中でも平松(*7)なんかは僕らが2年生の頃とは比べ物にならないぐらい上手いし、哲朗だったり藤野(*8)だったり他の2,3年生もよく考えてやってくれていると思います。今年は4年生が多いのでなかなかチャンスをもらえない選手もいますが、もうこの時期にもなれば、学年なんて関係ありません。ガンガン追い越して行って欲しいです。2,3年生のなかで上手い、で終わらずにチームのエースになったつもりで。そういう2,3年生が増えていけば、自ずとチームは学生日本一に近づいていくのではないかと思います。

(*7 31期(2年)MF#28平松匠太。)

(*8 30期(3年)G#2菊地哲朗、30期(3年)LG#34藤野勇志。)

プレーオフにかける想い

今年はずっと結果が出ていません。六大戦(*9)は全然勝てず、開幕戦(*10)は負け、リーグ戦で引き分けて(*11)、ここまで来ました。厳しい試合の連続でした。だからこそ、この先の勝利が見えます。去年は、皆言葉では「このままじゃダメだ、上手くならなきゃいけない」と言っていてもなんだかんだ勝っていて、チームや自分自身のダメなところと本気で向き合うことができなかったように思います。今年は、自分たちの弱みが出る試合や、強い相手との試合を経験しながらリーグ戦を突破しました。課題は嫌というほど見えています。

(*9 例年2月〜4月に行われる、法政大学、早稲田大学、明治大学、立教大学、慶應義塾大学、東京大学による総当たり戦。)

(*10 2016年度関東学生リーグBブロック初戦vs慶應義塾大学。昨年同じ舞台で7-6で勝利した相手に、今年は7-11で敗北を喫した。)

(*11 2016年度リーグ第4戦vs中央大学。6-6で引き分けた。)


4年間、このプレーオフで勝つためにラクロスをしてきました。とにかく、4年生の時に学生日本一になりたいという想いがありました。なぜだかはわかりません。同期への思い入れからでしょうか。僕は同期に恵まれました。あまり感情を外に出さない奴の多い29期ですが、きっと内にはたくさんのエネルギーを秘めているのでしょう。迷い悩んだときもありましたが、今は心から信頼できる同期がいます。最近、いいチームになってきていると思います。でもいいチームだったね、で終わっては意味がありません。僕らの4年間の集大成、とにかく勝ちたいです。

いろんな感情を抱いた4年間、もう迷うことはありません。ただただ学生日本一に向かっていくだけです。残された時間は多くはないですが、こんな時こそもっと早く。毎日、ワンプレー毎、クロスのひと振り毎に上手くなってやりましょう。

 

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