この対談は、東大運動会の各部が互いの部の活動を知り、応援しあうきっかけを作ることを目的として企画されました。
対談には東大運動会を代表するラクロス部男子・アメリカンフットボール部・ア式蹴球部の3部から同じ立場・役職の部員同士が集まり、お互いの思いを共有していきます。
記念すべき第1回の参加者は、選手と共に戦う男子スタッフ・学生コーチたちです。

参加者

IMG_2710

水谷 季央

(写真中央、以下 水)
ラクロス部男子BLUE BULLETS 4年。学生コーチとして、Cチームのコーチを務める。教育学部身体教育学科所属。
ラクロス部男子 今年の戦績
関東学生リーグ1部所属。リーグ戦は5試合中3試合を終え2勝1分。プレーオフ進出のためには残りの2試合を勝つことが必要となる。

山本 健

(写真左、以下 山)
ア式蹴球部4年。フィジカルコーチ、サッカースクールの運営を務める。後期教養学部統合自然科学学科所属。
ア式蹴球部 今年の戦績
東京都2部に所属。 前期リーグは2勝4敗3分(10チーム中)6位 。後期リーグは現在1試合を戦い1分。

根岸 才

(写真右、以下 根)
アメリカンフットボール部WARRIORS 4年。Student Assistant(通称SA。敵校の分析、練習の補助・指導、戦術の立案・整理などの業務によって、戦術面をメインとして選手を様々な面からサポートする)。今季SA長を務める。経済学部経済学科所属。
アメリカンフットボール部 今年の戦績
関東1部下位リーグBIG8所属。リーグ戦は9/10開幕。

 


 

-今日は宜しくお願いします!
早速質問ですが、お互いの部についてどんな印象を持っていますか?

:ラクロスは、強くて羨ましい。(笑)

:アメフトとは毎年新歓でバトってるね。アメフトとかラクロスは未経験者がほとんどだから、どれだけ素質のあるやつを獲れるかに未来がかかってるからな。でも今年からアメフトにドーム社(*1)のサポートがついて、アメフトに勝てなくなってきた。(笑)
(*1) 株式会社ドーム。各種スポーツ用品、スポーツサプリメントの製造・販売、アスリートへのパフォーマンスディレクション等を行っている。

:俺らも新歓期はラクロス部のことめっちゃ意識してるよ。なんせラクロス部は日本一にめっちゃ近いっていうのがあるから。

:アメフトとかラクロスって4年間ですごい成長してるように見えるけど、サッカーは大学4年間ではあまり成長しないから、それはちょっと羨ましい…。そこを諦めたくはないんだけどね。

:アメフトはポジションが25個あると言われていて。実際にはもっといっぱいあるんだけど。だから、どんな人間でも1個くらいは自分に合ったポジション見つけて頑張れるってのもあるかな。あとは交代自由だから、試合に出るチャンスも得やすいし。

:そうなんだ。ア式から見て、アメフトは「すごいちゃんとしてる組織」って感じ。みんな同じ目標意識を持って、それに向かって同じ行動ができる集団。そういうところもすげえ羨ましい。

:いやー、中にいるスタッフとしては、いろいろ言いたいことあるけどね。

:逆にラクロスは、自主性を重んじてるイメージがあるな。サッカーはそういう意味ではラクロスとアメフトの間くらいにいるかも。

:確かに。うちは朝の練習が終われば基本放置で、自分で時間の使い方考えてやるしかないから。自主練するかしないかも、自分次第。

:アメフトの場合はとにかくフィジカルが大事だから、そこは強制的にやらないといけないってのはある。高校までの部活でそんな筋トレ真面目にやってるやつがいないから、そこは規律で縛らないと、って感じ。

:なるほど…。そういえば京大アメフト部監督の水野さんの記事で「初めは強制しないとだめだ」って書かれてて、確かにって思った。俺もCチームのコーチをしていて感じるけど、Cチームだと自主的にやるっていう考えすら持ってなかったりするから。まずはある程度強制してでもやらせないとな、って。

S__30277636

-そもそも皆さんはどういう経緯で今の役職に就いたんですか?

:俺は今年の5月にプレーヤーから学生コーチに転向しました。プレーヤーだったときは、AチームとBチームを行ったり来たりしていて、試合に出られるか出られないかの瀬戸際の状況。うちの部は今年ABC3チーム体制でやっているんだけど、当時Cチームはほぼ下級生で構成されていて、コーチも付かず、ほぼ放置みたいな状況になっていて。それで同期の中から誰か学生コーチを出さないといけないってことになって、やらないかって話をもらいました。
チームのことを考えた時に、Cチームの選手が成長できる環境を整備するってことが、自分にできることなのかなって思って。すごい迷ったけど、コーチをやろうって最終的に決意しました。

:俺も選手として入部しました。もともと高校時代から東大に入ってサッカーで結果出したいって思っていて、大学1年生のときも2年生のときも、誰よりも努力したつもりだったんだけど、どうも実力が足りないって感じて。このまま俺が一生懸命努力して上手くなることよりも、チームのために自分が努力することが価値があるのかなって思ったんです。東京大学というチームで結果を出すために努力しようと。苦渋の決断だったけど、もともと身体運動科学系の研究室に所属してたから、その知識を活かせたらなと思って、フィジカルコーチになりました。

:俺はもともと小学生の時にアイシールド21(*2)を読んでて。
(*2) 稲垣理一郎原作、村田雄介作画の少年漫画。アメリカンフットボールがテーマ。

:あー、アツい。(笑)

:それでずっと大学入ったらアメフトやりたいなとは思ってました。だけど、高2の秋に病気になって左足の自由がきかなくなって、運動は無理だってことになって。でも小中高ずっと運動はやっていたし、運動部に入ってない自分っていうのが想像できなくて。

:たしかに。俺もそれはわかる。

:アメフトへの思いも捨てきれなかったし、うちの部のSAは選手よりも主体的にプレーに関われるっていう特殊なポジションだったから。そこに惹かれて入りました。今は、選手の誰よりも戦術に詳しい自信はあります。

:…すげえ。

:戦術ってどうやって勉強してるの?見て学ぶとか?

:いやーもうね、先輩の話を聞くのと、映像を見るの2つしかない。映像は、1日5時間くらい見てる。

:ええーっ。

:1日5時間見ても、わからないことはいっぱいある。今年から就任したヘッドコーチは、30年前に京大で日本一になって、それからずっとアメフトやってるレジェンドみたいな人なんだけど、その人の話聞くともう全然及ばないって感じる。ひよっこもいいとこ。

:ラクロスもNCAAの映像とか見て戦術勉強するけど、5時間はすごい…。

:あんまりイメージがわかないんだけど、SAにとっての「失敗」ってどんなこと?

:選手が戦術についてしっかり理解してなかったせいでミスが起きたら、すごい責任を感じる。俺の伝え方が悪かったかな、とか。あとはアメフトは1回1回プレーが止まるから、次の戦術に何をチョイスするかっていうのを選ぶ時間があるんだけど、そのチョイスを失敗したらどうしようっていうのはあるね。

DSC_6275

-山本くん、水谷くんは、コーチになるか悩んでた期間はどれくらいの長さ?

:3年の5,6月。2ヶ月くらい悩みに悩んで…って感じでしたね。才能ある新入生が入ってきて、これはちょっと厳しいのかなって思って。誰にも相談せず、決断したときもグラウンドでコーチに話しただけ。コーチに伝えたあと、トイレにこもって泣いてた。涙はトイレに流しました。(笑)

:俺は決めるまで結構時間無かったんだよね…10日とかそれくらい。その間、OBとかいろんな人とたくさん話したなあ。

:短っ。

:俺は泣かなかったんだけど、コーチになるって言ったあとに同期の升野が号泣してて。それでもらい泣きしたな。
うーんでも、コーチになるって決めた時よりも、コーチになってからのほうがしんどかった気もする。プレーヤーだったら、課題があったら自分がそれを変えるために行動すればいいけど、コーチになるとやっぱ他人に対して働きかけなきゃいけなくて。なかなか自分がこうしてほしいって思った風には変わんないから、それが一番難しい。

:なんか、「やってやった」感があまりないよね。自分が活動したことによって成果を得るっていう感覚が。プレーしてたらあるけど。

:そうだね。自分が向上しただけでは、何もチームにプラスにならないから。それをどうやって還元するかを考えるのが、難しい。

:サッカーだとみんな経験者だから、それ相応のプライドがあって。自分の経験をもとにこれはやるべき、これはやらないべき、っていうのを決めちゃってるんだよね。変えるためには、その前提を否定するところから始めないといけない。

-そういえば、社会人サッカークラブのいわきFCがフィジカルを強化してJリーグのチームに勝った、なんていう記事がありましたね。

:そうそう。サッカーってそういう文化が全然ないから。特に進学校出身の子は筋トレする習慣もなくてフィジカルは諦めちゃってて。俺が言うことに対して反発があるわけではないんだけど、反応が乏しいんだよね。それはショック。

:そうだね。どうしたら響くかっていうのが、難しい。

:あと、今日言ったことが、明日できるようにならないってのが辛いね。自分がグラウンドに立てないから、俺だったら出来るのに…って思っちゃったりして。そんなこと思ってもどうにもならないけど。

-自分がプレーしていた経験があるからこそ、他人を動かすこと、変えることの難しさを感じているんですね…。
では逆に、やりがいはなんですか?

:ちょっとした日々の行動で、あ、こいつ変わったな、こいつちょっとよくなったな、って思えることかな。

:選手が上手くなった瞬間と、あとは勝った瞬間。たぶんその2つしかないんじゃない?

:そうだね、それに尽きる。

:慶應義塾高校と試合して、試合中に帰りたくなったことがあるな。高校生とはいえ結構強い相手だったから、絶対勝てるとは思ってなかったけど、負けてしまって。その上、高校生に「あいつら気合い入ってねーぞ」って言われて、なのにうちの選手も平然としていて。そのときはなんか、ああなんでこんなとこにいるんやろ、みたいな。帰りてえなって。

:俺が来てる意味ないじゃんってなるよね。

:そこから少しずつ良くはなっていったけどね。

:俺は選手の意識と習慣を変えることが自分の仕事だって決めていて。でも選手の習慣が変わったところで、それが結果につながらないと達成感は得られないから、結局は勝つことがやりがいになってるかな。あとは、たまに選手から「お前に言われた通り習慣変えてみて、ちょっと良くなったよ」って言われると嬉しい。

-具体的にどうやって習慣づけをしているんですか?

:直接言ったり、合宿とかで講習会を開いたりしてます。あとはLINE@を使ってトレーニング記録を選手に送らせてます。

:あ、俺らもLINE@使ってるわ。リーグ戦始まってからは忙しくてあんまできてないんだけど、食事管理とかに使ってる。ラクロスもフィジカル強化が必要なスポーツで、一人暮らしの人も多いから、どういう食事がいいのかを発信したり。一回朝食企画っていうのをやったことがあって。あんまり朝食食べてない人に毎日朝食の写真を送らせたんだけど、その期間はだいぶ成果あったな。ま、食事はアメフトが一番力入れてるところだよね。

:いや、俺らも体重増やせ、飯食えとは言ってるんだけど、逆に人数多すぎて管理難しい。毎日体重測らせるのでも一苦労。(笑)まあ測らせるだけでも違うんだけどね。体重が伸びてるやつ、伸びてないやつの差がはっきり出るから。
あと、そういうのって底上げはできるんだけど、上がなかなか伸びない。どうやったら上が伸びるんだろう。

:そうだね、下の子達は、指導しやすい。上の選手だと、自分が選手としてそのポジションに行けなかったから、ちょっと引け目を感じてしまう部分はあるな…まあ、それはよくないんだけど。

:俺は下のやつらの面倒を見るのが自分の役割だから、あんまりそういうのはないかな。Aチームのやつらを見てても、とんでもない行動してるやつがいるとは思わないし。今年は特に主将の菊地中心にミーティング頻繁に開いたりして頑張ってるし、同期も俺の意見はしっかり受け止めてくれる。もちろん試合見てて何やってんねんって思うことはあるし、やるからには頑張ってほしいとは思ってるけど。でも下はやっぱAチームの選手と比べて意識が低くて、かつ意識が低いことに気づいてない。それをどう気づかせてあげられるかってところが課題かな。

-いまの自分の部の状況について、どんなことを思っていますか?

:うちの部は去年東京都1部から東京都2部に降格していて。俺らはもともと東京都1部からその上の関東リーグに昇格することが目標だったんだけど、それが叶えられなくなってしまったんだよね。さらに今年前期リーグを戦ってみて、2部でも6位っていう成績で、危機感がある。
でも、もう失うものはないから。全勝するしか昇格する望みは無いから、割り切って、結構いまはいい雰囲気。崖っぷちだけど。

:その点うちは春は完全に練習試合だから、特に後期に影響があるわけではないかな。ただ、今季の目標が「1部上位リーグ(TOP8)でも優勝争いできるくらいのチーム力を作ること」だったんだけど、春にTOP8の学校と対戦してぼこぼこにやられて。格下の防衛大にも何とか勝てたってくらいのチーム力。危機感はあるんだけど、それをどうやって解決していくかっていうのがまだ見えてないんだよね。俺らもほぼ全勝しないと上に上がれないから、一発負けたら終わり。

:俺らはシーズン序盤はほんとに上手く行かなくて、同じ1部の慶應に完敗したりした。6月くらいからようやくちょっと良くなって、早慶も倒せるようになってきた。そんな中でリーグ戦始まって、1,2戦目は勝ったんだけど、雰囲気にどこか緩みがあったのかな。この前の3戦目で、本当は勝たなきゃいけない相手に負けかけて、ぎりぎりで引き分け。次負けたら結構まずいって状況だから、こっから雰囲気が引き締まればいいと思うんだけど。

:みんな状況は苦しいんだね…。アメフトって公式戦何試合あるの?

:リーグ戦が7試合で、入れ替え戦が1試合。8チーム中6試合が入れ替え戦に出る。上が2チーム、下が4チーム入れ替わるんだよね。俺らのリーグの下に、並列で2つリーグがあるから。

:えっ、結構がっつり入れ替わるんだね…。サッカーは下に落ちるのが2〜4チーム。上入れ替えは2チームかな。上位との勝ち点差がいま10以上あるから、まじで頑張んなきゃ。

-そんな中で、3人は今年のチームに対して、そして後輩に対して、どんな思いがありますか?

:同期はずっと一緒にやってきた仲間だし、去年Bチームで一緒に練習してたやつらが活躍してるのは普通に嬉しい。単純に、負けたら俺の引退も早くなるから。やっぱ長くやりたいし、素直に勝ってほしいって思うよ。

:俺の場合はチーム全体のフィジカルをみてるから、1軍の東京都1部昇格っていう目標を達成するために、自分ができることは責任もって全うしたいと思ってる。あとは、自分たちが成し遂げられない関東リーグ昇格っていう夢を後輩達に追ってもらいたい。そのためにチームのフィジカル文化を作ることが俺の1つの大きな目標かなって思ってる。

:俺も、今年勝つのもそうだけど、後輩がいつか日本一になってくれたらいいなと思っていて。そこにほんのちょっとでもいいから俺が貢献した証が残っていたら、嬉しいなって思う。あとはやっぱ先輩から受けた恩があるから、それは後輩に返していかなきゃなっていう義務感みたいなものがあるかな。

:そうだねー。それはでかい。

:自分たちができなかったことを後輩がやってくれたら、嬉しいね。そこに自分がちょっとでも関わっていたいな。

-みなさん、ありがとうございました!

 


 

初対面にも関わらず、最初から和気あいあいとした雰囲気で話が弾んでいた3人。対談後、ご飯に行くなど親交を深めたようです。
3人の輪にとどまらず、この対談がお互いの部を知り、応援するきっかけになれば幸いです!最後までお読みいただきありがとうございました。

各部の直近の公式戦情報は下記の通りです。

★ラクロス部男子★
9/16(土) リーグ戦第4戦 vs日本体育大学 10:50FO @葛飾区総合スポーツセンター陸上競技場

★ア式蹴球部★
9/10(日)リーグ戦第12節 vs玉川大学 14:40k.o.@東京大学御殿下グラウンド

★アメリカンフットボール部★
9/10(日) リーグ戦第1節 vs桜美林大学 17:00k.o. @アミノバイタルフィールド

TOP