≪2010 リーグ戦 FINAL≫

東京大学 vs 早稲田大学

11月14日(日) @駒沢第二球技場 14時00分 FACE OFF


 1Q  2Q  3Q  4Q TOTAL
東京大学/ HOME   0   1   2   2  5
早稲田大学/ AWAY   3   1   1   3  8

得点者:
#2 伊東 大地 [MF] 1
#9 茂木 努 [MF] 1
#11 樋浦 直樹 [AT] 1
#19 宮澤 脩一 [AT] 1
#51 上野 裕人 [MF] 1

《試合概要》
朝からどんより曇っていた寒空は、最後まで晴れることはなかった。
2010年11月14日、10Blue Bullets シーズン閉幕−−−。

待ちに待ったFINALの舞台、対戦相手は2ヶ月前に予選リーグで下した早稲田大学Red Bats。がけっぷちから這い上がり、FINAL4で予選全勝だった強豪・一橋を倒してきた早稲田は、2ヶ月前よりさらに強く、凄みを増していた。東大もさらに個の力を高め、早稲田の武器であるニュートラル〜FO、GB、ライドで"真っ向勝負"することを決めた。今までのどの試合よりも激しく、厳しい戦いになることは間違いなかった。

1Q開始のFOは東大が勝ったが、早稲田のすきのないディフェンスに攻めあぐねる。開始9分にブレイクから早稲田のスコアを許すと、立て続けに点を決められる。内1点はタイムアウト申請後の得点だったために取り消されたが、早稲田のペースで試合が進み、気づけば0-3の3点ビハインド。思えば、序盤で相手にリードを許すことも、3点差をつけられたことも今大会中はなかった。ここで立て直さなければいけない。1Q終了直前にEMO1分のチャンスが訪れ、右前からMF木坂が放ったシュートはゴールネットに突き刺さった。しかしQ終了のホイッスルの方が先だった。0-3で1Qを終えたが、東大は活気づいた。

続く2Q開始直後にMF上野の下シューが決まると、流れは早稲田のものではなくなった。シュートを放ってはセーブされるが、クリアされてもライドで取り返す。OF中のミスもうまくカバーし、チャンスを見つけてスコア。動きの速い早稲田OF陣に対しても、G前野を筆頭に東大DF陣は堅実に守りぬき、2、3Qの失点を2点に抑えた。失点後もMF小橋がFOで勝ちきってOFにもちこむ。"真っ向勝負"で立ち向かい、互角の戦いをくりひろげたのである。しかし点差はなかなか縮まらず、3Q終了時点で3-5。

残り20分で追い抜かそうとした矢先、ライド戦術の裏をかかれ、早稲田MFがショットスコア。AT宮澤が1点返し、再び2点差の4-6に戻したのは残り10分のことだった。まだまだいける。ここから逆転する試合なら何度でも見てきた。経験もしてきた。

東大はあられのようにシュートを浴びせるが、入らない。何度目のシュートだっただろうか、ついに早稲田にチェイスを取られ、またも戦術の弱点を利用されてスコアを許してしまった。残り2分半で4-7。最後の望みをかけてクロスチェックを申請。イリーガルクロスならばいまの得点が無効になり、EMO状態で試合が再開できる。しかし、願いはかなわず東大がMDDに。この絶体絶命のピンチのさなか、MF茂木がクリアしてボールをオフェンスコートに運び、オフェンス人数が少ないままショットスコア。まだあきらめてはいけない。DF陣が果敢にボールを落としにいくがホールディングをとられ、2メンダウンに。

−−−そして、無情にも試合終了のホイッスルが響き渡ったのだった。
5-8、東大はFINALで敗退し、準優勝に終わった。


「学生王者」

目指してきた大きな目標は、手が届くところまで来ていたのに、つかめなかった。

しかし、10Blue Bulletsはまぎれもなく最高のチームだったと胸を張って言える。
その姿勢、思い、無念、情熱、誇りはこれからもずっと受け継がれてゆく。

《試合経過》
1Q

東京大学 スコア 早稲田大学
- 0-1 9分 早稲田 スコア
タイムアウト - -
- 0-2 15分 早稲田 スコア
- - 17分 早稲田 スコア
→タイムアウト申請後のためノースコア
- - タイムアウト
- 0-3 18分 早稲田 スコア
EMO 1分
20分 4年MF#50木坂 スコア
→タイムオーバーのためノースコア
- スラッシング
- -


2Q

東京大学 スコア 早稲田大学
EMO 継続 - -
1分 3年MF#51上野 スコア 1-3 -
- 1-4 6分 早稲田 スコア
タイムアウト - -
- - タイムアウト
EMO 30秒 - ホールディング
前半終了。


3Q

東京大学 スコア 早稲田大学
クロスチェック、両チームともセーフ。
EMO 継続 - -
- 1-5 5分 早稲田 スコア
9分 4年MF#2伊東 スコア 2-5 -
タイムアウト - -
19分 4年AT#11樋浦 スコア 3-5 -


4Q

東京大学 スコア 早稲田大学
- 3-6 1分 早稲田 スコア
EMO 30秒 - プッシング
- - タイムアウト
10分 4年AT#19宮澤 スコア 4-6 -
- 4-7 17分 早稲田 スコア
アンスポーツマンライクコンダクト
(クロスチェック)
- EMO 3分
18分 4年MF#9茂木 スコア 5-7 -
タイムアウト - -
- 5-8 19分 早稲田 スコア
ホールディング - <6対4>
試合終了。



MVP
#26 前野洋平(Yohei Maeno/4年G)

DFコーチの中谷です。

Finalではなかなか点が入らない中で、ブレイクやGBから数少ないOF機会を早稲田に的確にシュートまで繋がれ、あわや失点、というピンチが何度もありました。
しかしそこで立ちはだかったのが#26G前野です。

自分からはっきり意見を主張することが苦手だったり、メンタルが不安定だったりと最初は課題も多かった今シーズンですが、練習を重ね、また周りからの助言に耳を傾けられる素直な性格もあって、一歩づつ上手くなって上り調子で迎えた大一番。

何度となく完全なゴーリー1on1を止め、ブレイクのピンチもキャッチセーブからこちらのチャンスに変える。1プレーがチーム流れを大きく左右するゴーリーというポジションでFinalという大舞台、かかるプレッシャーも大きい中、存在感を見せてくれました。

4年間、苦しい時期も乗り越え、立派に走り抜けた前野のこの日の活躍はまさに「守護神」と呼ぶにふさわしいものでした。


VP
#10 小橋啓史(Yoshifumi Kobashi/4年MF)

FOコーチの伊部です。

9月19日のリーグ戦早稲田戦で、小橋は早稲田FOer#3細岡に手も足も出ず、試合後半は一度も出場させることすらできませんでした。この試合、FOを最重要項目に掲げていた東大は大きな衝撃を受けました。FOが単純に技術だけの勝負ではないとはいえ、まざまざと力の差を見せつけられたからです。

それから1ヶ月半、小橋を中心としたFOチームは打倒早稲田を心に誓い、本当に必死に練習してきました。どうやったら早稲田のあのFOに勝つことができるのか、それだけを考えて、厳しい練習をこなしてきました。僕はFOerとしてこの4年間BLUEBULLETSに関わっていますが、この1ヶ月半ほどFOerがFOに練習を割いた時間はなかったと思います。

近年日本でも、FOerを専門職にするべきかどうかの議論は盛んに行われています。小橋はFO以外の技術があまりうまくありません。もっとラクロス全体のスキルを上げるべきだという意見もありますし、僕もそれには賛成です。

しかし、FOで勝てるということ、大事な場面でFOを1つ勝てるということは、ラクロスにおいて本当に重要なことであると、今年の小橋の活躍を見て、誰もが改めて実感したはずです。

Finalでの小橋の活躍は、その一つの答えだったのではないかと思います。小橋の健闘むなしく、東大はFinalで敗れ、BLUEBULLETS2010は志半ばで悔し涙を飲む結果となりました。勝たなければ意味がないので、今でも本当に心残りです。悔しくて仕方がありません。

しかし会場に足を運んでくださった方々の目には焼き付いていることでしょう。あの尊敬すべき強敵早稲田のFOを相手に75%の勝率を叩きだし、最後の最後までチームの勝利を信じて戦い、仲間を鼓舞し続けた小橋の姿を、僕は忘れません。


VP
#9 茂木努(Tsutomu Mogi/4年MF)

Head Coachの飯塚です。

先日の早稲田戦は2010 Blue Bulletsの最終戦となりました。
互いのスタイルをぶつけあう素晴らしい試合だったと思います。

早稲田の堅いDFに東大OFが阻まれる中、東大を引っ張ってくれたのが、#9茂木(4年MF)でした。

茂木は僕が2年前にHCをやったときからトップチームで活躍してきた選手で、僕にとっても、ひと際思い入れの強い選手でした。強靭なフィジカルから繰り出される、抜群の安定感のクリアや、ダッジは当時から素晴らしいものがありました。

しかし、OF面では、多人数で攻めることや、シュートにおいてなかなか成長が見られず、大きな期待を背負いながらもなかなか結果がついてこなかった選手でした。

しかしながら、最後の早稲田戦では、堅い早稲田の1on1 DFを崩し、積極的にシュートを打ち続け、終了間際にも、クリアからのブレイクで点をもぎ取り、最後まで勝利を引き寄せ続けました。

最終的には負けてしまいましたが、茂木のプレーの中に、東大OFの意地を見せてもらったように思います。

また東大に茂木のような素晴らしいタレントが生まれることを願っております。


written by Sen Chang