≪2012 リーグ戦 プレーオフ FINAL4≫

東京大学 vs 慶應義塾大学

11月3日(土) @大井第二球技場 10時00分 FACE OFF


 1Q  2Q  3Q  4Q  TOTAL
東京大学 / AWAY   2   2  2   2 8
慶應義塾大学 / HOME   1   3   3   4 11

得点者:
#15 平野 崇  [AT] 2
#26 出戸 康貴 [AT] 3
#38 木村 友哉 [MF] 1
#48 荻野 仁視 [MF] 1
#90 羽生 敦  [MF] 1

《試合概要》
 今年、脅威的な強さを見せてきた慶應義塾大学。彼らに勝つためには、リーグ戦を終えてからもなお一回りも二回りも成長する必要があった。そしてFINAL4までの約一か月を経て、BlueBulletsは確かに進化を遂げた。前半では東大がリードし、試合時間の多くも優勢にあった。
 しかし3Qからの慶應の追い上げが、4Qでは圧倒的な反撃となって襲い掛かった。昨年一昨年と夢見てきた栄光は、今年も我々の手から零れていった。
 

 11月3日、少し肌寒い空気が、今年もこの季節がやってきたのだと着実な前進を感じさせた。
 スターティングメンバーが、グラウンド中央に3年FOer#31舟橋を残して各ポジションに散った。舟橋が相手FOerと向かい合い、ボールを挟んでクロスを合わせる。その一点に全てが集中し、次の瞬間には激しいボールの奪い合いになっていた。戦いの火蓋は切って落とされた。

 先制点は逃したものの、すぐに3年AT#26出戸が得点。その後流れを奪い返し、6on4のチャンスなども訪れたが、少ない人数でも慶應DFの鉄壁ぶりは変わらない。1Qも終了が近づいたころ、3年MF#90羽生が1on1をかけ、左横からの狙い撃ちが決まった。2-1のリードで、幸先は頗る良かった。
 
 1点リードで始まった2Qも、4年MF#48荻野がクリースで振りかぶって華麗なショットを決め、開始一分のうちに2点リードに引き上げた。しかし慶應も反撃に出る。MDD中、更に解除直後にもDFの崩れを見抜かれ、同点に追いつかれた。このまま相手の優勢を許しているわけにはいかない。一度リードされてしまえば、試合丸ごと持っていかれかねないからだ。
 そんな時、#26出戸が魅せてくれた。慶應のクリアをつぶすと自らボールを拾い、パスと見せかけてキープしたまま正面に走り込む。堅いDFが僅かに乱れ、彼が叩き込んだボールは激しくゴールネットを揺らした。流れは譲らないという執念のスコア。しかしその後、前半終了間際に失点し、同点で前半を終えることになる。
 
 後半は幸先の良いスタートを切った。4年副将AT#15平野、更に3年MF#38木村のスコアで、再び2点差に持ち込む。
 ところが、一見優勢のようでも、この頃から少しずつ暗雲が立ち込めてきていた。失点しては取り返す、という展開が崩れつつあったのだ。
 慶應OFに危機感を煽られ緊張状態が続くと、相手の不意のクールに対して隙を見せてしまった。左上に浮いた慶應MFが思いきりスタンディングシュートを放ち、ボールはDFの隙間をすり抜けてゴールに収まった。
 とにかくスピードの速い試合であったが、激しいクリアとライドの応酬は選手たちを消耗させたに違いない。そしてここまで保ってきた一線が次第に壊れ始めた。MDD中、クリース近くの選手が盲点となり、そこにパスが渡ったことに気づいた時にはすでに遅かった。この悔やんでも悔やみきれない失点で6-6の同点。そのまま立て続けに正面からシュートを決められ、ついにリードを許してしまう。
 
 4Qに入って直ぐに失点し、更に苦しい状況に陥った。慶應の攻撃は当に止むことがない。今や一点一点がとてつもない重みを持って襲ってくる。4年主将G#28浦山は、最後の砦として奮闘を見せる。
 そんな時、再び#26出戸がトリッキーなプレーを仕掛けた。ゴール正面の#48荻野にパス、と皆が思った。実は右上の#15平野を見ていたLGが荻野に飛んできたことに気づいた出戸は、平野にパスを出していた。身軽になった平野はすかさずショットスコア。この見事な連携プレーに、東大は活気を取り戻した。
 ただやはり、慶應の得点力は東大を凌いでいた。慶應AT#9田中選手のシュートを阻めずに再び2点差に戻され、更にはライドからのブレイクで3点差を叩き付けられた。
 それでも諦めるにはまだまだ早すぎる。出戸が右横からジャンプしてきて、ゴール前で横なりに倒れた。外れたシュートをしっかりキャッチして、ゴールに押し込んだのだ。
 ラスト2分で2点ビハインド。不可能ではない。脳裏に浮かぶ逆転の光景。
 しかしラスト1分で得点したのは、東大ではなかった。その時とうとう取り戻すことが難しいところに追いやられていた。ポゼッションは、最後まで慶應にとられたままだった。この息苦しさが敗北なのだと、噛み締める時間はもはや長くはなく、まるで悟すようにホイッスルが鳴り響いた。

 「学生日本一」その高みを目指し戦ってきたBlueBullets。また一つシーズンを終えて、自分たちの手には、未だ何もないことに気付く。
 12Blue Bulletsは燃え尽きて、跡には言葉にできないほどの様々な思いが残された。
 この思いを与えてくれた存在に、最高の喜びで報いよう。
 
 恐れてはいられない。勝つために、超えるために、変わらなければならない。
 13BlueBulletsは生まれ変わろうとして、蠢き始めた。

《試合経過》
1Q

東京大学 スコア 慶應義塾大学
- 0-1 2分 スコア
EMO60sec.
9分 #26 出戸 スコア

1-1
8分 イリーガルボディチェック
-
EMO30sec.(6on4>
EMO30sec.(6on5)
- 11分 オフサイド
アンネセサリーラフネス
- - 15分 タイムアウト
18分 タイムアウト - -
19分 #90 羽生 スコア 2-1 -


2Q
         

東京大学 スコア 慶應義塾大学
1分 #48 荻野 スコア 3-1 -
5分 ファウル

3-2
EMO30sec.
6分 スコア
EMO30sec. - 9分 クリースバイオレーション
13分 ホールディング - EMO30sec.
- 3-3 14分 スコア
EMO30sec. - 16分 オフサイド
17分 #26 出戸 スコア 4-3 -
- - 18分 タイムアウト
- 4-4 19分 スコア
前半終了。
クロスチェック


3Q

東京大学 スコア 慶應義塾大学
2分 #15 平野 スコア 5-4 -
6分 #38 木村 スコア 6-4 -
- 6-5 9分 スコア
14分 スラッシング

6-6
EMO60sec.
15分 スコア
- 6-7 16分 スコア


4Q

東京大学 スコア 慶應義塾大学
- 6-8 30秒 スコア
EMO30sec. - 2分 ホールディング
3分 クロスチェッキング - EMO60sec.
7分 タイムアウト - -
EMO30sec.
8分 #15 平野 スコア

7-8
8分 ホールディング
- 7-9 13分 スコア
- 7-10 15分 スコア
18分 #26 出戸 スコア 8-10 -
- - 18分 タイムアウト
- 8-11 19分 スコア
19分 アンスポーツマンライクコンダクト - EMO3min.

written by Mariko Soh