≪2013 関東学生リーグ戦≫

東京大学 vs 一橋大学

8月25日(日) @大井埠頭海浜中央公園第二グラウンド 10時00分 FACE OFF


 1Q  2Q  3Q  4Q  TOTAL
東京大学 / AWAY   0   2   5   3 10
一橋大学 / HOME   1   2   0   1 4

得点者:
#4 室井 啓介 [MF] 3
#6 河合 孝哉 [AT] 1
#11 正木 勝也 [AT] 2
#33 頓所 史章 [AT] 1
#69 都外川識志[MF] 2
#88 西嶋大二朗[MF]1

《試合概要》
 初戦から一橋大学と対峙するとあって、2013年度リーグ戦の開幕は例年とは少しばかり雰囲気が異なっていた。部員数が増え大きく膨らんだチームをまとめあげていたのは、マインドを語る言葉よりも何よりも、「とにかく勝つこと」への執念そのものであった。
 残暑厳しい8月とは思えないような涼しい天候で、小雨がぱらついていた。この天候がどんな記憶と共に刻まれることになるのか、決めるのは自分自身である。

 序盤から緊張感が張り詰めていた。30秒間のマンダウンを守りきった後、至近距離からのショットを4年G#2田村がセーブ、ボールを受け取った4年主将DF#45金井は何とそのままロングシュートを放つ。惜しくも得点にはならなかったが、東大の目指すものを再認識させる豪快なプレーだった。先制点を奪われはしたが、その後も攻めの勢いを失わず、先の読めない状況のまま第1Qが終了した。
 第2Qも両者譲らない。G#2田村の安定したセーブ力が光る。3度目のセットOFで4年AT#11正木から対角へのフィードで3年MF#69都外川がスタンディングシュートを決めた。その後1分間のエキストラのチャンスがやってきた。3年副将MF#4室井がそのチャンスをモノにし、一点リード。しかしすぐに取り返されてしまう。前半残すこと10余分、このまま同点で終わるかのように思われたが、終了間際に一橋側のカムアラウンドショットが決まり、再び1点ビハインドで2Qを終えることとなった。

 第3Qは3分間のエキストラから始まったが、一橋の壁はさすがに堅く、得点には至らなかった。しかしながら、この第3Qは今回の試合の鍵となった。4年MF#88西嶋のスコアで同点に持ち込んだのを堺に、一気に4得点をあげることとなった。副将MF#4室井が2得点目を決め、その直後のエキストラのさ中、ゴール横からクリースに滑り込んだ正木がトップにいた出戸からのフィードを押し込み2点リードに。得点ごとのFOを4年副将MF#31舟橋がことごとくモノにしたことで、攻撃に拍車がかかる。MF#69都外川が1on1からストレートにランシューを決めた。そして3得点目となる副将MF#4室井のスコア。それまで保たれていた均衡が、この15分間の間に一気に傾き、東大4点リード。

 残すところあと20分。4年副将MF#31舟橋、4年MF#19新井が安定のFO力を発揮し東大のOFは続く。そして頓所がゴール裏からの1on1で、相手DFのプレッシャーからゴリゴリ抜け出でショット。これが決まり、最終クオーターの東大のペース維持にも一役買った。オフサイドによるマンダウンで敢え無く失点するが、立て直しを図り果敢に放たれる一橋のシュートはG#2田村が流石のセーブ力で跳ね返す。主将DF#45金井もダイブでチェイスを獲得して狂奔する姿を見せつけた。そして4年AT#6河合がカムアラウンドショットを決め再び5点リード。
 残り12分、安心するにはまだ早いが、勝利の瞬間が近づく高揚感は禁じえない。10分間、なんとか奪い返したい一橋とそれを阻む東大の攻防が続いた。しかし一橋のクリアに対してライドを成功させたことで、それが途切れた。ボールを持った正木が右上からプレッシャーを受けながらゴール横に走り込んだ。角度ゼロのその位置からはシュートなど入りそうにない。しかしそれを決めるのが正木のプレーである。真横からダイブしてショット、そしてスコア。得点は10-4。ノータイムで30秒間のマンダウンとなったが、終に試合終了のホイッスルが鳴った。

 狂奔の精神を掲げながらも難航し続けていたシーズン前半、それを抜け出し、ようやく日の目を見た瞬間だった。13東大の挑戦は始まったばかりである。
 


《試合経過》
1Q

東京大学 スコア 一橋大学
5分 プッシング - EMO30sec.
- 0-1 12分 スコア


2Q

  
東京大学 スコア 一橋大学
6分 #69 都外川 スコア 1-1 -
EMO60sec.
7分 #4 室井 スコア

2-1
7分 アンスポーツマンライクコンダクト
-
-
2-2 10分 スコア
EMO30sec. - 11分 インターフェアランス
- - 13分 タイムアウト
17分 タイムアウト -
-
18分 タイムアウト - -
- - 19分 タイムアウト
- 2-3 19分 スコア
前半終了。


3Q

    
東京大学 スコア 一橋大学
クロスチェック、一橋大学のイリーガルクロス
EMO3min. - アンスポーツマンライクコンダクト
- - 3分 タイムアウト
5分 #88 西嶋 スコア 3-3 -
6分 スラッシング - EMO60sec.
9分 #4 室井 スコア 4-3 -
EMO30sec.
#11 正木 スコア

5-3
10分 ホールディング
-
12分 #69 都外川 スコア 6-3 -
17分 #4 室井 スコア 7-3 -
EMO30sec. - 19分 インターフェアランス


4Q

  
東京大学 スコア 一橋大学
2分 #33 頓所 スコア 8-3 -
3分 オフサイド
-

8-4
EMO30sec.
4分 スコア
7分 タイムアウト - -
8分 #6 河合 スコア 9-4 -
EMO30sec. - 13分 ホールディング
EMO30sec. - 17分 ホールディング
19分 #11 正木 スコア 10-4 -
20分 ホールディング - EMO30sec.


Impressive Players of the match

MVP
#31 舟橋 光(Hikaru Funahashi/4年MF)

 HCの鈴木です。一橋戦は応援ありがとうございました。
 
 この試合のMVPを選ぶのは、非常に難しいです。
 ベンチ入りメンバーは試合を通じてそれぞれの役割を全員が非常によく果たしました。またベンチ入りしていない部員全員がこの試合の準備に貢献してくれたし、特にBチームメンバーが一橋のライド、オフェンス、ディフェンスをよくコピーして練習相手になってくれたことなしには、この勝利はなかったでしょう。強力な10manライドを攻略することに6月の東商戦以来ずっと頭を悩ませてきたクリア担当幹部の西山にも、本当によくやってくれたと言いたいです。
 それでも一人を選ぶとすれば、舟橋でしょう。
 昨年のリーグ戦でベストFOerに選ばれ、今年は全ての学生から追われる立場になりました。味方からも「舟橋は勝って当然」と思われるし、実際に今回の試合でも彼がFOを制することは戦略の中で計算済みでした。
 そういうプレッシャーの中で、同ブロックで最も強いと目される一橋FO陣を相手に80%という想定を遥かに上回る勝率を収めてくれました。単に数字だけでなく、試合の流れをみて相手に心理的なプレッシャーをかける駆け引きも見事でした。
 東大が試合の流れを制し続けることができたのは、彼のFOに依るところが非常に大きいです。

 これからは益々マークされるでしょうし、反則を厭わずあの手この手を使ってくる相手も出てくるでしょう。今回の審判団のように反則を見逃さずに取ってくれる保証はありません。
 それでも勝ち続けることのできるスケールの大きいFOerとして、もっともっと成長してくれることを期待しています。


VP
#33 頓所 史章(Fumiaki Tonsho/3年AT)

 OFコーチの樋浦です。
 この試合では裏からのATの攻撃が一つの鍵となっていましたが、ATの中でも先陣を切って敵LGに勝負をしかけ、試合のリズムを作ってくれたのが頓所でした。

 試合序盤の頓所の頑張りが、後半で東大がペースを握れたことに一役買ったのは間違いないと思います。
 さらには、フィジカルを活かした1on1力と、DFが崩れた所を見逃さないOFセンスを発揮して、1得点1アシストと得点でも貢献してくれました。

 今年は怪我をしていた期間が長かった頓所ですが、復帰してからは、OFだけでなく、GB、クリア、キープと大事な部分で、チームに必要不可欠な働きをしてくれています。
 むしろこれまでは、試合においては得点力を発揮できない傾向がありましたが、今回の一戦を自信にして、より点を取る、取らせるATになってくれると信じています。

 今後の活躍にもご期待下さい。


VP
#4 室井 啓介(Keisuke Muroi/3年MF)

 OFコーチの樋浦です。
 もう一人のVPはMFながら3得点の活躍をしてくれた、3年室井です。
 この試合では、勢いに乗って一橋を突き放したい時間帯に、室井がチャンスを逃さず得点してくれたことが、試合の形勢を決定づけたと思います。

 室井は今年CF(core fundamental:捕る、投げる、走る)長という役割を担っており、ラクロスの核であり、今年チームとして特に大事にしている技術を伸ばす責任を負ってきました。
 チームへの働き掛けもさることながら、個人としてもCF長の名に恥じない、高い技術と走力を兼ね備え、今ではOF、DF、ニュートラルとオールラウンドに活躍するチームに欠かせない存在となっています。
 現時点でも東大にはなかなかいない、「器用で賢くて走れる」と3拍子揃った、コーチにとっては非常に助かる選手ですが、現状に満足せずに、敵DFにとってより怖い存在になるよう成長してほしいと思います。

 今後も、強力なシュートを武器に得点を量産している3年MFの都戸川とのコンビで、不動の1st setとして活躍することが期待されますので、引き続きご注目ください。







written by Mariko Soh