[東京大学 vs 早稲田大学]
関東学生ラクロスリーグ戦 ファイナル4
11月21日(土) 大井第二球技場 17時00分 FACE OFF


1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
東京大学  0  2 3  3  8
早稲田大学  2  4  0  0  6

得点者:
橋本卓郎(#5 MF)1
大岡雅和(#20 AT)3
箕輪佑介(#30 AT)1
日高重和(#54 AT)3



2年振りに帰ってきたこの舞台。Blue bullets が全日本選手権優勝に向け、まずは選手権出場の切符を掴む為には、ここで勝つことが必要十分な条件である。試合前からの大応援に支えられ、運命のホイッスルが吹かれた。


1Q
 FO。MF10山本がしっかりと勝利し、最初のOFは東大にもたらされる。3分以上ボールを保持し続けるも、AT20大岡のシュートが早稲田Gに阻まれ、早稲田に攻撃が移る。そして、早稲田のこの試合初のシュートが放たれ、これを12水谷が阻むも、ボールは不運にもゴール前の早稲田ATへ。そして早稲田ATが水谷との1対1を制する。0−1。先取点は早稲田にもたらされる。ゴール後のFO。山本がまたも掴むと、MF5橋本、大岡、AT30箕輪と立て続けにシュートを放ち、流れをもってこようとする。これに呼応するかのように、この後のマンダウンのピンチでDF2石井が魅せる。水谷との1対1を作り出した早稲田ATに力強いチェックを放ち、シュートを打たせない。ところが、流れを掴んだのは早稲田だった。残り約12分、左上からの1ON1からシュート。0−2。何とかしたい東大はタイムアウトを取る。この後、マンダウンのピンチを凌いだ東大はMF8原がシュート×2、そしてGBをとり、この時間の東大OFを引っ張る。しかし、まだ流れを掴みきることはできず、最後の約5分は守勢を強いられる。水谷が1対1を止め、LMF32高田が相手の背後からのテクニカルなチェックで落とすなどし、なんとかゴールを割らせずにQ終了を迎える。0−2。

2Q
 1Qの流れは断ち切れない。はじめのFOは山本が勝つも、MF13飯塚のシュートが阻まれると逆にFB(4対3の数的不利な状況)を作られる。ここはなんとか石井の捨て身のスライドで凌ぐ。その直後、東大のミスから、この試合4度目の水谷と早稲田ATの1対1。ここも水谷が防ぐ。この後、しばらく膠着するも、残り約14分、早稲田が裏からの1ON1からシュートを決める。0−3。東大、ゴーリーを29大内に変え流れを変えようとするも、東大ATがボールを持つ間もなく早稲田OFが立て続けに2得点を加える。0−5。完全に悪い流れの中、FOで山本がボールを奪う。そして、東大OFコートのGBを拾った早稲田DFがクリアしようとしたパスをAT54日高がカット。このとき早稲田ゴールは無人になっていた。そこへ日高がパス。1−5。試合開始から約33分。ようやく東大にゴールがもたらされる。狂喜乱舞の応援、ベンチ。しかし、流れはまだ混沌としていた。すぐに早稲田が取り返す。1−6。次のFOも早稲田が奪い、早稲田が流れを取り戻したかにみえた。ところが、DF56浅井が早稲田ATからボールを落とすと、浅井→MF15矢島→石井→大岡ときれいにクリアが決まる。まだ流れはどちらのものかわからない。残り約4分半。ボールが日高に回る。日高が裏から1ON1をしかけると、早稲田DFが置き去りにされる。ゴール左前へと抜け出てシュート。バウンドしたボールがゴールネットをやさしく揺らす。2−6。流れを掴んだ東大の、反撃の狼煙があがる。この後大応援団に支えられたか、無人のゴールへのシュートを早稲田が外すなど、運も味方する。最後はMF22江上がシュートを放ち、クリアの応酬となったところでQ終了。2−6。

3Q
 始めのFOで早稲田がFBを作る。このシュートを当たり前のように水谷が止める。流れは東大のままだった。DF44鈴木が早稲田ATのクロスからボールを弾き出させると、浅井がこれを拾い、OFコートへ。これを飯塚がしっかりキープする。そしてここから飯塚、箕輪、矢島と相手ゴールを脅かすシュートを放つ。東大はその後のマンダウンも堅守。そして残り12分。混戦GB。大岡がボールを持って走り抜ける。一旦矢島にパス。矢島1ON1。そして再び裏の大岡へ。ダッジ。DFが置いていかれる。ゴール前へ突進。シュート。ボールはゴーリーのオフスティックへ。3−6。じりじりと迫る。この後に訪れた早稲田OFの猛攻も、DF陣がいい形でシュートを打たせない。そして早稲田OFの間隙を縫って東大のクリアが成功する。ここで東大すばやくタイムアウト。残り6分半。じっくりとボールを持つ。残り4分。早稲田DFの隙を突いて、大岡が裏でフリーでボールを持つ。早稲田ゴーリーが慌ててボールを奪いにくる。その隙を見逃すはずもなく、大岡がゴーリーをかわし、無人のゴールへと叩き込む。4−6。得点後のFO、山本が取る。MF5橋本が大きく1ON1。ゴール右前からジャンプシュート。バウンドしたボールの軌道には早稲田ゴーリーのクロスは無かった。5−6。苦しい早稲田はタイムアウト。残り3分。東大の応援は、もはや絶叫の重ね合わせとなっていた。この盛り上がりに押され、水谷に何かが乗り移る。早稲田のシュートをことごとく止め、クリア。早稲田ゴーリーが負けじと日高との1対1を止めたところでQ終了。5−6。

4Q
 最終Qの序盤は早稲田のペースで始まった。FBをつくり出し、東大ゴールを脅かす。しかし、応援、ベンチに支えられ、霊的な力すら感じさせる水谷が守るゴールを割ることはできなかった。5分近い早稲田OFはストーリング(OFがボールを持ちすぎることで発生するファールの一種)で終える。鈴木が華麗にクリアを決めたところで東大タイムアウト。残り約12分。飯塚から裏の大岡へ。大岡が風を切り、ゴール左前へ抜け出る。振り向きざまにシュート。サイドネットが揺れ、ボールがゴールの中を転がる。大岡の腕が高々と上がる。スタンドが爆発する。6−6。得点後のFO。またもや山本が勝ち、こぼれたところを飯塚が抑える。すばやいボール回しから、裏で大岡が持つと、早稲田DFはすでに崩れていた。大岡トップギアに入る。早稲田DFがゴールに引っかかる。大岡日高へパス。日高、シュート。ゴーリー再び止める。こぼれたボールの先に箕輪。箕輪、傾いたゴールへバウンドシュート。一瞬の静寂。得点を告げる審判の笛。7−6。逆転。会場に地鳴りが発生する。なんとかしたい早稲田、タイムアウト。しかしこれが効を奏すことはなかった。この後に訪れた長い早稲田OFも、DF1清原が徹底的なプレッシャーからボールを落とすなどし、思うようにさせない。そして、早稲田のミスを突き、浅井がGBを拾うと江上へパス。江上が30m近く走り抜け、クリアを成功させる。東大、早稲田DFの必死のプレッシャーに押されボールを落とすも、これを大岡が拾い、落ち着かせる。東大応援のボルテージが高まる。残り約2分。ゴール左上の日高にボールが回る。日高から裏の大岡へパス。リターンパスがゴール左横へと移動していた日高へ。そしてゴーリーと1対1。最後の勝負の軍配は日高に上がった。8−6。勝負が決まった。最後早稲田が猛攻を見せる。しかし水谷が3本のランニングシュートを弾き返し、3本目のチェイス(ラクロスではシュートがラインを割ると、ラインを割ったときボールに最も近い人からゲームが始まる)を自ら奪い、早稲田の猛攻に幕を引かせる。そしてこのボールを、すっかり暗くなった夜の大井競技場の空へと投げ上げたところで試合終了。8−6。劇的な逆転で、勝利を収める。東京大学男子ラクロス部blue bulletsが3年振りに関東決勝の舞台、そして、全日本選手権の切符を掴んだ。




written by Hiroshi Tabayashi