関東学生ラクロスリーグ戦 Final4
[東京大学 vs 一橋大学]
11月3日(月祝) @大井第二球技場 15時00分 Face Off
 1Q  2Q  3Q  4Q  EX1  EX2  EX3  EX4 TOTAL
東京大学/ AWAY  3  3  0  2  0  0  0  1  9
一橋大学/HOME  1  2  3  2  0  0  0  0  8

得点者:
#5  中島 穰[MF]1
#9  茂木 努[MF]1
#14 中村 彰秀[MF]1
#22 対馬 龍行[AT]1
#25 石指 裕章[AT]2
#30 織田 健太朗[AT]1
#75 坂井 宏成[MF]2

 溢れんばかりの観客でスタンド一面が青に染まった大井第二球技場。
会場を揺るがす地響きのような声援の中、30人の蒼き戦士がグラウンドに降り立った。
目の前に立ちはだかるは宿敵、一橋大学。互いのプライドとプライドがぶつかり合う過酷な戦いの火蓋が今、切って落とされた。



1Q
 FOを奪ったのは東大#17伊部。Fast breakから#7渡慶次のシュートは惜しくも外れるが、このプレーで東大OFは手ごたえを掴む。一方、対する東大DFは一橋のミスのないプレーを前になかなかボールを奪えず、焦りからファウルを4つも犯してしまう。このピンチで一橋#7に先制点を決められ、0-1。しかし、ここから東大OFが反撃を開始した。次のFOを東大が奪うと、#22対馬が右前からスタンディングシュートを決め、すぐさま同点とする。その後EMOのチャンスを得ると、#5中島が豪快なスタンディングシュートを決め、逆転。更に今度は#9茂木のピックで抜け出した#30織田が右カムを決め、一橋を圧倒する。3-1とこれ以上ない展開で1Qを終えた。



2Q
 開始早々set OFから失点を許すが、東大の猛攻は止まらない。まずは#30織田のピックから#9茂木が右カムで得点。一橋はたまらずZone DFに切り替えるものの、東大は落ち着いたパス回しで相手を翻弄。空いたスペースに#75坂井が切り込み、ランシューを決める。その後も東大はポゼッションを保ち続け、苛立つ一橋からEMOを得る。このチャンスで#14中村がスタンディングシュートを決め、6-2。この試合最大の点差がつき、完全に東大が主導権を握る。Q終了間際に失点を許すものの、6-3で2Q終了。このまま東大が逃げ切るかに思われた。



3Q
 後半に入ると東大のOFが徐々に失速していく。一橋の攻撃的なZone DFを前になかなか攻めきれず、追加点を挙げることができない。一方、東大DFはここから一橋の怒濤の反撃を受ける。開始6分、裏からの1on1で一橋#7にシュートを決められると、次のset DFでまたしても#7に決められ、6-5。更にQ終了間際、#22のシュートフェイクから#99にクリースで決められ、一気に同点とされてしまう。東大ベンチが騒然となる中、3Qが終了。東大に暗雲が立ちこめる。



4Q
 4Qになっても一橋の勢いは止まらない。最初のFOを一橋に奪われると、#99にクリースで決められ早々と逆転を許す。ここから東大は一橋の激しいプレシャーに遭い、ボールをことごとく奪われてしまう。東大は防戦一方の中#8木名瀬が踏ん張るものの、開始12分、またしても#99に決められ6-8。東大は早くも窮地に立たされた。その後も東大OFは打開策が見つからず、時間だけが刻一刻と過ぎていく。それでも東大は自らのチームスタイルを貫き、ポゼッションを保ち続けた。そして試合終了まで残り2分、東大にようやくチャンスが訪れる。#30織田のフィードを#25石指が落ち着いて決め、8-7。そしてラスト1分、フライ時の相手の一瞬の隙をつき、#5中島がクリースにパスを投げ込む。これに完璧に反応したのはまたしても#25石指。強引にシュートをねじ込み8-8。とうとう試合を振り出しに戻した。さらにその後、ライドからのブレイクで#7にシュートを打たれるが、G#8木名瀬が好セーブ。木名瀬のロングパスを#30織田がつなぎ、クリースで待ち構えていた#4小原が倒れ込むようにしてシュートを打ち込んだ。奇跡の逆転劇に沸き立つスタンド。しかし、これはタイムアップのため惜しくもノーゴールとなる。結局8-8のまま、勝負は延長戦にもつれ込んだ。



Extra Quarters
 延長戦では互いのDFが必死の守りを見せる。最初のFOを伊部が奪うと、東大は落ち着いたパス回しで相手DFの隙を窺う。しかし、一橋の堅い守りに阻まれあと一歩のところで得点を決められない。対する一橋も#7を中心に激しい攻勢を仕掛けるが、東大は守護神#8木名瀬の度重なる好セーブでしのぎきる。試合が動いたのは3Q、東大のキャッチミスで生じたGBから一橋#21が抜け出し、フリーになった#7にパスが渡る。絶体絶命かと思われたその瞬間、#7のG前シュートを#8木名瀬が辛うじてはじき、この試合最大の窮地を脱した。そして延長4Q、ついに運命の瞬間が訪れる。一橋のスラッシングでEMOのチャンスを得た東大は、この男にすべてを託した。MF#75坂井。試合終了残り2分、#7渡慶次からのパスを受け取ると渾身の力を込めてスタンディングシュートを放つ。ボールは一橋Gの右下を抜け、ゴールネットに突き刺さった。その瞬間、スタンドからはこの日一番の歓声が沸き起こり、観客が一斉にグラウンドになだれ込む。9-8。東大は劇的な勝利でFINAL進出を決めた。

#8 木名瀬 邦彦(Kunihiko Kinase)

 4年Gにして東大ラクロス部の主将。長丁場となったこの試合で、最後まで集中を切らさず東大のゴールを守り続けた。延長の緊迫感を楽しんでいたというその強心臓は圧巻。彼の存在はチームに絶対的な安心感をもたらしている。



#17 伊部 智信(Tomonobu Ibe)

 3年MF。この試合完全にFOを支配し、名実共に学生FOerのトップに上りつめた。常に進化を求めて練習に励み、また自らの想いを仲間に発信し続けるその信念は強固であり、日々多くの仲間に多大なる影響を及ぼしている。




#22 対馬 龍行(Tatsuyuki Tsushima)

 4年AT。今シーズンMFからコンバートし、その力が開花。この試合、失点後の大事な局面でシュートを決め、相手に傾いた流れを引き戻した。普段はクールな彼だが、得点後には跳び上がって爆発的な喜びを表現した。その姿に、彼のこの試合に懸ける熱い思いが表れている。



#25 石指 裕章(Hiroaki Ishizashi)

 4年AT。この試合、4Qラスト2分で起死回生の2得点をあげた。どのような状況でも決して揺らがず自分の役割をきっちりこなすその姿は正に職人。今後の戦いでも、彼の存在は相手にとって非常に脅威となるに違いない。




#75 坂井 宏成(Hironari Sakai)

 4年MFにして東大ラクロス部の副将。この試合のMVPは間違いなく彼だろう。最後の最後に得意のスタンディングシュートを決め、チームを勝利に導いた。強気なプレーでチームを引っ張る彼の活躍は、留まるところを知らない。



written by Shinji Kondo