東京大学運動会ラクロス部男子第25期副将 / 平野 崇

学生相手に負けたくない
 一番の夢はやっぱり学生日本一。学生相手に負けるのは絶対に嫌なんです。
普段はそんなに感情を表に出すタイプではないので、あまり周りにそうとは思われていないかもしれないけど、すごく負けず嫌いで。
小さい頃から、「誰にも負けたくない」っていう気持ちが強くて、勉強でもスポーツでも誰かに負けるのが本当に悔しくて。
どの大学のラクロス部も、大学に入った時にラクロスを始めて、学校の授業や就職活動などがある中で、練習場所や練習時間から工夫して試行錯誤して練習していると思うんです。
だから相手校に勝てるかどうかというのは、それまで自分達がどれだけ頑張ってきたか、どれだけ突き詰めて練習してきたか、どれだけ勝ちにこだわれたか、の差だと思う。
その部分で同じ学生に負けるのは嫌だし、現時点で負けてないという自信があります。




2年越しの思い
 多くの25期(今季の4年生)も感じていると思うけど、2年連続FINALで早稲田に負けていて、その場面がすごく印象に残っています。
俺は25期の中では唯一2年からリーグ戦に出ていて、2年の時も3年の時もあんなに強いと思っていた先輩たちが目の前で最後に早稲田に負けて引退して行きました。
2年生の時はDFMFとして出場し、右も左も分からず、緊張することさえできなかった。
3年生だった去年は1試合2得点取ろうと思ってsetMFで試合に出ていたけれど、全然勝ちに貢献できなかった。
どちらの年も自分の力でチームを勝たせられなくて、今思い返すと本当に悔しいし、もっとできたなって。絶対に今年こそは、という思いが強いです。
あのFINALの舞台であの早稲田に勝つ、もう二度と負けない、っていうイメージが強く自分の中ではあります。



言い訳できない状態にする
 実はどんな練習試合でも、たとえ普段のメニュー中に行うスクリメだったとしても始まる前はすごく緊張しているんです。
リーグ戦を前にした今も、本当に試合が来るのが怖いなと思ってしまうのが本音です。
じゃあその怖さを払拭するにはどうするのか。
俺はいつもこだわっていることなんですけど、試合前までに「言い訳できない状態にする」ことって大事だと思っています。
人間は楽な方に流れてしまうもので、例えば少しでも“疲労が溜まってるんじゃないか”という不安が自分の中にあったら、それを言い訳に試合中でも「いつも通りには足が動かないんじゃないか」と不安になってパフォーマンスが下がったりしてしまうと思うんですよ。
だから、最大限セルフケアをして疲労を残さないようにしたり、練習前は毎日ポカリスウェットを1本とプロテインを1杯飲んで体調を万全にしてから練習に臨んでいます。
準備を怠ったことで、パフォーマンスが下がってしまうかも知れない。
準備を怠ったから仕方ないよね、っていう弱い気持が出てくるのを許してしまうかも知れない。
そうならないように、いかに試合前に「これをやれば万全だ」、「しっかり準備してきた」、「だから大丈夫」、という状態に自分をもってこれるかが大事だと思っています。
これは日常生活でもそうだし、自主練や筋トレもそうです。
日々の行動の全てを試合前に言い訳できない状態に持っていくことが、怖さに打ち勝つ方法の一つだと考えています。


主将に思うこと
 浦山(12年度主将)はすごくストイックなやつです。
浦山自身に対しても周りに対しても。
周りに対して求めていく姿勢はすごく尊敬しているし、主将としてとても頼りになると思います。
あと、浦山は非常に勝ちに貪欲。
その「勝ちを渇望している」、という部分にすごく俺は共感できる。それが浦山の行動の原点であって、エネルギーの源泉なんだと思うんです。
だからシーズン初めにあいつに、「副将やってくれないか」と言われた時も、心から「こいつと一緒に日本一を目指したい」と思えてすんなり引き受けられた。
俺はどちらかというと勝ちに向かって猛然と突っ走るタイプなんですけど、浦山は俺と違って、周りにエネルギーを発散して巻き込こんでいくタイプの貪欲さの持ち主。
周りにどんどん絡んで、周りのやつらも一緒に日本一を目指したいと自然に思わせてしまう。
ちょっとうざいくらいに絡んでいくんですけど。
でもまさにそこがみんなが彼に惹かれる理由だと思う。


部員全員がHEROたれ
 今年は山下HCの下、「HEROになる覚悟」というテーマを掲げています。
俺にとっては凄くしっくりくる言葉で、こういう気概を持つのは本当に大事だと思っています。
俺は今年からチーム事情もあってATになったけど、それよりもATは際どい試合で勝負を預けられるポジションで、その大事な役割を自分が引き受けたかった、という気持ちが強いです。
チームの勝ち負けに責任を持つような存在になりたくて。

 というのも2011年のFINALが終わった後に、「自分がチームを勝たせよう」って気概でFINALに臨んでなかったな、っていうことを感じて。
「チャンスがあれば活躍したい」程度にしか考えていなくて、自分がこういう働きをしてチームを勝たせるという具体的なイメージは特になく、「俺がチームを勝たせる」っていうところまで考えが及んでいなかったんです。
でもそれじゃダメなんだって気づいてとても反省しました。

 一番に責任を負う4年が自然とその気持ちを強く持つっていうのは当たり前だと思うんですが、この気持ちは学年に関係なく持つべきものです。
結局は自分も4年になって気づいてしまったんですが、それでもこれは伝えておきたい。
この気持ちがまさに「HEROになる覚悟」であって、いかにチームを勝利に導く準備ができているかということ。
下級生であっても、そこまで考えて練習してリーグ戦に出てほしい。
出戸(3年AT#26)とか都外川(2年MF#69)はそういうところが育っていてすごく頼もしいです。
そういう「自分で勝負を決められるやつ」が何人もいる中で、俺自身が譲れないのは、チームが苦しかったりうまく点が取れない状況の時に、絶対自分で勝負して打開して点を取る、っていうところ。
自分が勝負を決める、っていう場面は絶対にものにします。





Editted by Mizuki Murata
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