晴れ舞台
昨日、高校時代にコンビを組んでいた相方がMー1の2回戦を突破した。
プロでも普通に落とされる2回戦で、その日勝ち進んだアマチュアはそいつらだけだったらしい。
3回戦(=準々決勝)の舞台は新宿ルミネ。
「準々決勝は絶対行くから!」と言ったら、
「予約とかしないとチケット取れないかも。」と言われた。
芸能人かコノヤロー。すげーよ浅川。
浅川と僕の初舞台は、学園祭で1年5組に設置したビールケース+ベニア板。
ルミネとは比べものにならないくらいショボいし、ネタも稚拙だったけど、
その頃から僕たちは本番に向けた準備だけはとことんやった。
毎晩遅くまでうちでネタ合わせして、それをビデオに撮って反省する日々。
全校集会中にネタ合わせしてて担任に鉄拳を下されたこともあった。
(『アンダーズ公開処刑事件』)
本番前日に玄間母、姉に見せてダダスベリするというハプニングもあって本番前はとても怖かったけど、
「ここまでやってきたんだから思いっ切りやろうぜ!」と言って臨んだ晴れ舞台。
観客の温かい拍手で恐怖は一瞬にして吹き飛び、ほどよい緊張感の中無事笑いを取ることができた。
前日姉が大爆笑した部分以外は。
(『カレー味のウン●ってウン●じゃねーか!事件』)
あれから6年、浅川はルミネで準々決勝という晴れ舞台に、僕は大井でファイナル4という晴れ舞台に立とうとしている。
あの頃よりもはるかに多くの情熱をかけてきて、1年5組の舞台よりもはるかに多くの観客に自分の晴れ姿を見てもらえる。
晴れ舞台は、そこに立つのに相応しい準備をした者だけがそれを楽しむ権利を持つ、と僕は思う。
僕たち08Blue Bulletsは、春先からずっと負け続けてきた。
辛くて苦しくて、ラクロスの楽しさを見失いそうになったときもあった。
走ることだけはどのチームにも負けないようにしようと、文字通り吐くまで走った。
それが僕たちの最大の武器『執走』として少しずつ自信となり、夏先にやっと勝てるようになった。
そこで僕たちは気付いた。
僕たちは弱くてヘタクソだ。
全てのプレーで一流になることはできないだろう。
でも、それぞれの弱さを隠さずに分かり合って少しずつ補い合い、それぞれの強みを最大限活かすことができれば、
そして全員が最初から最後まで『執走』すれば、『強い』相手にも勝つことができるのだと。
ほんの少しの自信を得て臨んだリーグ戦で、初戦から三連勝して僕たちはファイナル4進出を決めた。
本当に強くなれたのかもしれないと思った。
そこからまさかの二連敗。
まだまだ足りないことを思い知らされた。
そこから僕たちは偽物の自信を捨て去り、もう一度自分たちの弱さと向き合った。
08Blue Bulletsは弱いのか、それとも弱い部分を自覚しているからこそ強いのか。
明日の80分間が終わったとき、一つの答えが出るだろう。
ただ、これだけは言える。
僕たちにはこの晴れ舞台を最高に楽しむ権利がある。
勝つための準備はしてきた。明日はそこにある勝利を獲りにいくだけ。
大井を青く染めつくす大勢のサポーターを想像すると、心が震える。
僕たちの一挙手一投足に歓声が上がる。
僕たちが観客席を巻き込めば皆応えてくれる。
お祭り男の僕にとってこんなに楽しい舞台はない。
明日は、春先からの『08Blue Bullets物語』を共に歩んできた最高の仲間たちと共に、ファイナル4という素晴らしい晴れ舞台を心の底から楽しみたい。
DF#56 玄間 博己